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第614話 青春18きっぷスロー旅(後編)(2023.4.1)

 早いもので1か月前の話になってしまったが、2/28~3/5の「ANAからの18きっぷ旅」の後半(3/3~3/5)をご紹介する。ご笑覧、ご高覧のほどを。(前半→第613話


行程概略

 今回の旅で最も難度が高かったのが3/3の行程。本数が至って少ない区間をつなぐため、朝は早いは次の列車まで3時間近く空くはで一筋縄では行かない。福塩線の府中~塩町(上り・下り各5本)、芸備線の備後庄原~備後落合(上り4本、下り5本)、備後落合~備中神代(上り・下り各3本)を何とかしようというのがこの日の主旨で、朝は福山~府中~三次、昼以降は三次~備後庄原~備後落合~新見~岡山と乗車。かねてから気になっていた高難度の路線を無事クリアすることができた。

 三次に着いたのは9:02。次は13:02発の備後落合行きに乗る予定だったが、この日は11:52発の備後西城行きがあったので先回りする感じで途中の備後庄原へ。昼食をとり、備後落合行き、新見行きを乗り継いだ。新見には16時頃の到着。福山を発ったのが6:13だったので、実に10時間後である。ローカル線の旅ならではの時間のかけようだと思う。

まだ薄暗い中、福山を出発。この6:13発の府中行きを逃すと、府中→三次の次の列車は8時間後!(定期列車の場合)
福塩線は青紫の「Z」の線。福山~府中は一定の頻度で走っているが、府中から先がとにかく少なく高難度。芸備線「P」も似たようなもので、備後落合~備中神代が特に僅少。ちなみに備後落合~東城は、3/23に落石→脱線(備後八幡~内名)があった影響で運転取り止めに。3/3でなくてよかったとつくづく思う。(5月下旬には再開予定とのことで、ひと安心)
備後落合駅。左の列車を降り、次は右の新見行きに乗り換え。三次→備後落合→新見をスムーズに移動できるのは、14時台の組合せ(14:21着-37発)に限られる。
備後落合の東隣、道後山。芸備線で最も高い地にあり、標高は611m。JR西日本の駅の中では二番目の高地。

 3/4~3/5(18きっぷ2回分)の主な行程は、岡山~加古川~谷川~福知山~尼崎~米原~名古屋~安城(泊)~浜松~富士~熱海~大船~。山陽本線、加古川線、福知山線、東海道本線を経由してのロングランだった。後半3日間の行程で初めて乗った区間を挙げると、福塩線の神辺~塩町、芸備線の三次~新見、加古川線全線、福知山線の福知山~三田といった具合。中国エリアは路線がいろいろある一方で、一筆書きで行けなかったり乗り継ぎが難しかったりでモヤモヤしていた訳だが、今回の旅で頑張ったおかげでJRの未乗路線は木次線、可部線、美祢線の三つとなり、未乗区間は因美線の東津山~智頭を残すのみとなった。これに山陰本線の和田山~豊岡も果たせば、兵庫県以西のJR西日本は全線完乗に。今後、何回かに分けて旅しようと思う。

兵庫県の路線ではローカルの部類に入る加古川線。加古川~厄神はまずまずの本数で、厄神~西脇市も困らない程度。大変なのは西脇市~谷川で、平日は9往復(土曜・休日は8往復)という少なさ。
西脇市で谷川行きに乗り換え(右が西脇市止まり)。10:01着-10発だった。10:10発の次の谷川行きは何と13:41発。
谷川駅の加古川線ホーム。本数が少ない区間がある割には、全線電化!
谷川駅の時刻表。福知山線も決して多いとは言えないが、加古川線の少なさに比べれば…という感じ。谷川では10:40着-49発の乗り換え。
加古川線は車両のカラーリングと同じグリーン系の「I」。初乗車にして完乗というパターンだった。谷川からの行程は、福知山まで北上してから福知山線で南下する形で、可能な限り降りて乗っても敢行。尼崎に着いたのは14:44だった。

 最終日は、東海道本線でまだ下車したことのない駅をひたすら訪ねるプランを決行。愛知県内の駅がまだまだだったので、行って戻ってを組み込むなどして3/5は同県で11駅(3/4は5駅)を探訪した。2020年3月に開業した御厨(静岡県磐田市)もようやく降り乗りを果たし、東海道本線は東京から三河塩津までが全駅乗降済みに。残るは三ヶ根、三河安城、大高の愛知県3駅と、岐阜県の3駅(支線の駅を含む)、滋賀県の7駅・・・東海道本線の駅はゴールが見えてきた感じだ。


三江線の跡地めぐり

 3/3は「三次で三時間」を過ごすことになった。着いた時点で天気は曇りモード。雨が降らなければレンタサイクルで観光しようと思っていたので、観光案内所へ向かう。案内所の方が言うには、三次は霧が名物。11時にはスッキリ晴れるとのことだったので、4時間以内400円の電動アシスト付き自転車(オススメ)を借りた。お手頃だと思う。

三次観光推進機構の電動アシスト車。廃線めぐりには必須の一台だと思う。
自転車だと期せずして穴場スポットに行き当たるもの。三次もののけミュージアムを通りがかった際、8620形48650号機に遭遇。1921年11月に造られ、1971年3月に引退・・・走行距離は2,518,953kmというから凄い。手入れが行き届いていて、現役車両と見紛うほど。

 事前に調べた感じでは、かつて三次と江津(島根県)を結んでいた三江線の駅や線路をある程度見に行けることはわかっていた。江の川に沿って走るイメージで、国道もあるし、それほど起伏もないだろうから大丈夫という見立て。実際はそれなりに高低差があり、距離もあった。走った距離は目標地点までの往路が約9.5kmで、復路は約8.5km(計18kmほど)。電動アシストの威力、ありがたみを実感した自転車旅となった。

国道375号から見た江の川。左奥の橋は、三江線(廃線)の第一可愛川橋梁。
深緑の川面が印象的な江の川。ダイサギと思われる鳥が中州で休んでいるところを撮った。竹木が倒れているのは大雪によるもの。

 聞いていた通り10時頃から霧はなくなり、サイクリング日和に。廃線跡を中心にいろいろと撮りながらだったので時間はかかったが、めざしていた地点には70分で着いた。三江線は2018年3月末を以って営業を終了。筆者は乗り納め、撮り納めのため、3/22に三次~石見川本(→参考を往復した。満員御礼で車窓を確保できない中、駅はできるだけ撮ろうと努めていたが、うまく撮れなかった一つが長谷(ながたに)駅。遠くからでもその姿をもう一度ということでその駅をめざし、5年越しに見る・撮るが叶った。駅名標はすでになかったが、その枠はまだあって、ホームや駅舎もそのまま。取り壊すにも費用がかかるため、放置されているのが実情とも聞く。廃線・廃駅ファンにとってはその方がありがたい訳だが、いずれは…だろう。

国道375号側から撮った三江線の遺構。右側に長谷駅跡がある。
長谷駅。簡易式のホーム、駅名標の枠、駅舎(待合室)が残っているのがわかった。

 もともと本数が少ない三江線の列車が半数は通過(上り下り合わせて10本が通るうち、停車するのは5本のみ)する駅だったため、鉄道でのアクセスが極めて困難・・・それ故にレア度は高かった。そんな駅となれば、間近に見ておきたいところだったが、三江線に沿う方の県道112号は自転車で走るには不向き(道幅狭く通行区分もなし)とのことだったので見合せ、国道375号側から江の川をはさんでの見物、撮影に。それでも成果としては大きく、その他の線路跡などを含め、見聞、記録ともに充実と相成った。6日間の旅のハイライトと言っていいかも知れない。

こちらは三江線の旅(2018.3.22)で撮った江の川など(粟屋~尾関山)。神之瀬川が江の川に合流する地点を撮ったもの。奥の橋は日下橋。手前の道路は県道112号。
三江線の三次行き列車からの車窓(2018.3.22)。江の川に架かる第一可愛川橋梁を渡っている途中の一枚で、国道375号沿道の家並みが見える。次の停車駅は尾関山。

神之瀬川を渡る日下橋から国道54号側を撮影(2023.3.3)。列車から見たコンクリート製の法面を近くで見た図でもある。
国道54号から三江線の第一可愛川橋梁を見下ろす(2023.3.3)。対岸左手には列車車窓と同じ家々や法面が見える。右の木々がある一帯が尾関山公園で、線路は尾関山を貫くトンネルを抜けて、尾関山駅に通じていた。
国道54号から見た江の川、三江線橋梁、尾関山。線路はまだ残っていて、トンネルもそのまま。
三次行き列車で移動中、終点一つ前の尾関山駅を何とか撮影(2018.3.22)。「歴みち石畳通り」など、レトロなエリアにアクセスしやすいのは当駅だったので、乗降客も少なからずいた。
尾関山→三次で、馬洗川(ばせんがわ)を越える。奥の赤い橋は巴橋。(2018.3.22撮影)

三江線の旅では通りがかっただけの尾関山駅。自転車で訪ね、駅舎の全体像を撮ることができた。内部を公開する日もあるとのこと。
国道54号から江の川と馬洗川の合流地点を撮影。奥に巴橋が見え、その前に三江線の橋梁が重なる。

「推しシーン」「推し駅」など

 三江線沿線サイクリングで撮った分以外の「推しシーン」のほか、降り乗りした駅の中でのイチ推しを画像メインで。(駅探訪の記録については「駅ログ」に順次掲載)

3/3、三次から芸備線に乗って東へ。備後落合行きの前に備後西城行きがあったため、それに乗って途中駅の備後庄原で下車(12:25着-13:38発)。近畿以西で最も広い面積を有する庄原市の中心駅だけあって、駅舎も駅前広場もなかなかのもの。
備後庄原~備後落合は西城川の流域にあたり、この時は上流に向かって進行。徐々に山深くなり、渓流の様相になるが、山岳区間の趣になるのは終点に近づいてから。この辺り(平子~備後西城)では川幅も広く、流れも緩やかだった。
3/4、加古川線で北上中、兵庫県西脇市から丹波市に入る辺りで撮った一枚。船町口の先で加古川を離れた後、再び川が現われたので撮ってみたがこちらは篠山川だった。この後5分ほどで終点の谷川。
こちらは福知山線沿いの篠山川。丹波市と丹波篠山市の境界付近から「川代渓谷」と称する一帯が続き、渓流や岩石などの自然美を堪能できる。
福知山線の駅でイチ推しなのが西宮名塩。北の名塩トンネル(2970m)、南の生瀬トンネル(1430m)の間にある駅で、その立地がまず独特。絶境の地にありそうな雰囲気だが、駅周辺は驚くほど都市的でそのギャップがたまらない。駅の東と西の高低差も見どころだと思う。
3/4は距離的には長旅だった。朝7時過ぎに岡山を出て、その10時間半後に愛知県へ。東海道本線の上りで岐阜県から愛知県に入った最初の駅が木曽川。駅を出て西側(イオンモール木曽川方面)を見ると夕日が実にいい色合いだった。
3/4、東海道本線の尾頭橋駅ホームから見た名古屋駅周辺の夜景。名古屋の南隣だが、旅の風情を感じる駅でトレインビューもバッチリ。ホーム東側を中央本線、名鉄(ともに駅はなし)が行き交うので、とにかく退屈しない。いろいろな面で名駅だと思う。
東海道本線の南大高駅。駅西側のイオンモール大高に通じるペデストリアンデッキから駅舎やホームをこのように見渡せるのがポイント。夜の駅は上手く撮れないものだが、これだけ明るいと何とかなるもので…
3/5は愛知県内の東海道本線未訪駅を行ったり来たり。県名が入る唯一の駅、愛知御津は駅舎が特徴的。端的に言えば洋館風だが、とにかくオシャレな印象を受ける。
2020年3月開業の御厨駅(写真は北口外観)。東海道本線で今のところ最新の駅なので、どこもピカピカ。新幹線を跨ぐ南北自由通路も含め、スケール大きめで驚いた。

旅につきものの「!」とか「?」な件

3/3、福塩線の本数僅少区間にある「上下」駅(7:48着-49発)。「じょうげ」と読む。駅名の通り、上りと下りが行き違う設定が午後に2回あるのが一興。
3/3の自転車旅で「!」となったのがこちら。国道375号を長谷駅跡方面に向けて走っていたところ、木が横倒しになっていて見事にブロックされる。足でどかして再スタート。国道でもこういうことはあるという一枚。
3/3、間もなく備後落合という辺りで撮影。西城川と離れ、次は小鳥原川沿いになると、雲南市や奥出雲町などを走る木次線の線路が現われる。その線路を撮ったところ、思いがけず雪! 標高が高いエリアなのでもっともなのだが驚いた。
ひな祭りの当日、新見駅にあった雛飾りを撮らせてもらう。3/3~3/6は「新見御殿町のひなめぐり」なる催しがあり、足を延ばせばその一端を見ることもできたが、最低でも駅から片道900mとの話で断念(新見では50分ほど時間があったが、ごく一部を見て引き返すのも何なので…)。それだけに駅でのこの展示はありがたかった。
加古川線の「日本へそ公園」駅。公園は沿線屈指のスポットだが、駅があまりに簡素だったので驚く。「日本のへそ」は定義違いで全国に複数あるが、下車駅と称しているのは当駅くらいだろう。
2022.3.22に発売開始された「西日本懐鉄入場券」。JR西日本管内の24駅でその駅ゆかりの版を扱っているが、易々と買えないのが難点。みどりの窓口(または改札窓口)での発売なので、新幹線駅だとまず買えない。福知山駅も一大ステーションなので、並ぶ覚悟で臨んだが… あっさり買うことができたのは嬉しい誤算?
3/4、木曽川駅で特急「ありがとうキハ85系ひだ」号を見送る(17:50頃)。この車両での特急「ひだ」の定期運用は3/17が最終日。いわゆるラストラン企画の一環で設定された臨時特急だったのだが、わかっていたのは名古屋に18時頃に着くこと程度・・・憶測で待機していたのが当たった恰好で、我ながら吃驚。その速さも驚きだった。
南大高で降り、素直にイオンモールへ。スガキヤの半額セールの対象日というのはわかっていたが、案の定の行列でパス。夕食はあんかけスパゲティにした。
3/1(熊本)、3/2(下関)、3/3(福山)、3/4(岡山)、3/5(安城)と5日連続で入鋏スタンプを押してもらった18きっぷ。回と日が同じなのでまず見間違えることはない。
間違いようはないにしても、自動改札オンリーの駅で駅員不在の場合はどうにも手間がかかる。3/5の乗り降りでは、このタイプのインターホンに何度お世話になったことか。(入場時はインターホンのリモートカメラでチェック→改札機オープン、出場時は改札内のインターホンで呼び出し→改札機オープン→改札外のインターホンで券面チェックという手順)

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