不透明感はあったが、長旅に出るなら7月半ばがよかろうと考え、北海道旅行を計画。5月のことである。
5/10に、Peachの便を往路7/11、復路7/15で押さえ、行程に合わせた宿泊先もひととおり予約。「Peachひがし北海道フリーパス」を使えば列車の移動も楽々につき、そのパス前提でプランを詰める。選択肢としては、「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」というのもあったが、こちらは補助金の上限に達すると発売終了となるのが難点。ギリギリで間に合いそうだったが、残念ながら7/8を以って終わってしまった。
6/16には、「運休、減便のお知らせ」がPeachから届き、思わず目が点に。7/11で予約済みだったPeachのMM593便(成田→女満別)がその対象になってしまい、振替等を案内される。幸い前日(7/10)は特に予定がなかったため、その日の同じ便に変更することに。当初4泊5日で考えていた旅はこれで5泊6日に。7/10の宿泊先を新たに確保する必要が生じるも、無難に北見で泊まることにして何とかまとまる。6日間周遊パスがもし買えたら、女満別空港からバスで女満別駅方面に行き、女満別→北見は列車で移動ということになっただろう。パスの売り切れにより、7/10は女満別空港からバスで北見駅へ直行。おかげで、北見ハッカ記念館と薄荷蒸溜館の開館時間に間に合い、両館とも一定の見学ができた。何が幸いするかはわからないものだと思う。
ホテルに向かう前に北見駅で買ったのが「Peachひがし北海道フリーパス」。こちらは5日間有効なので、旅程通り7/11~15に使う。2021年3月は「Peachきた北海道フリーパス」で宗谷本線を往復するなどしたが、今回はひがし=道東につき、釧網本線、根室本線などが軸。根室本線の未乗区間クリアを一大テーマに掲げ、十二分に活用させてもらった。
5泊6日となるとちょっとした旅になるので、やれることはやってからということで、歯の気になる箇所をチェックし、メガネのフレームも交換。散髪にも行き、より入念に準備し旅に臨んだ。
筆者単独では、出張やら廃止前の乗り納めやらで何度か訪ねている北海道だが、二人でというのは実は今回が初。二人旅での国内最北端は、これまで青森県むつ市(大湊など)だったところ、一気に更新し網走ということになった。
週間予報では曇りベースだった道東エリアだったが、実際の天気は概ね良好。気温もまずまずで、一応避暑にはなった。傘の出番は網走市役所付近(7/11午後)、釧路駅周辺(7/12午前)程度。釧路湿原を列車で移動している最中(7/12)と、サホロリゾートで迎えた朝(7/14)も雨だったが、それ以外は晴れか曇りで観光・行楽向きだった。花咲線の往復(7/12)、上士幌町方面のドライブ(7/13)のほか、ラベンダー観賞(7/14)、旭山動物園(7/14・15)についてはよく晴れて暑いくらいだった。条件が良ければ自ずと歩く距離も長くなる。7/13のドライブデーを除き、とにかくよく歩いた。健康的な5泊6日だったと言える。
さて6日間の旅ともなると、テーマ別に括るとわかりにくくなるので行程順でと思う。ダイジェストでご紹介する。
7/10(日)女満別空港、北見
PeachのMM593便は、女満別空港15時到着予定。実際はその10分前に着き、余裕を以ってバスに乗ることができた。
北海道北見バスの女満別空港線は、空港15:05発→北見15:47着。バスは広々とした空の下を程よい速度で走る。快適なバス移動だった。
早めに北見入りができたので、観光スポットへ。駅から600mほどの場所にある北見ハッカ記念館、薄荷蒸溜館をめざした。が、地図を読み違え800m余計に歩き、16:20頃に到着。17時閉館だったため、両館合計で40分ほど。ひととおり見学することはできた。
北見がかつてハッカの名産地だった件は今回で深く知ることに。1990年8月に旭川→北見を「ペパーミントエクスプレス」で移動した際はよくわかっていなかったが、北見と言えば当時はペパーミントだったのだろう。何はともあれ、乗っておいてよかったと今は思う。
7/11(月)網走、川湯温泉
ホテルからそう遠くない場所にピアソン公園とピアソン記念館があり、開館日ではなかったが見物しに行った。石北本線の列車は07:57発の次が10:20、11:28といった具合で、乗るとすれば10:20発だったため、まだ何となく時間がある。筆者は前日に観光協会で教わったSLのある公園へ。D50形25号機を間近に見て、北見観光は終了。次は網走観光に向かう。
網走も1990年8月以来。当時は駅前を散歩した程度で、市街地や港の方には行かなかった。今回は石北本線から釧網本線に乗り継ぐ際の待ち時間がある。11:23着-15:10発ということで、実に3時間50分ほど。路線バスで「観光施設めぐり」というのもあったが、ぐるっと1周するようなバスではなかったため見送り、徒歩で中心地の方をブラブラすることにした。
昼時に道の駅「流氷街道網走」に着いたので、そこのフードコートで昼食をとるなどしてゆったり過ごす。道の駅を出た後は、流氷硝子館に立ち寄るなどしてから、釧網本線の桂台駅へ。当駅は市役所にも近く、意外と便利な地にある。ここから1時間40分ほど乗って、宿泊先の川湯温泉へ。駅近のホテルで1泊2食のプラン。7/11は総じて楽な一日だった。温泉の方は肌に優しい感じで滑らか。思えば旅先での温泉浴は11月の宇奈月温泉以来。何と8か月ぶりだった。
7/12(火)花咲線往復
この日は道東メインの一日。乗降した鉄道駅でこれまで最も東と言えば知床斜里だったところ、それをとにかく更新するのが一つのテーマだった。根室本線を東へ。片道2時間余りの単純往復だった。
川湯温泉を8:18に出て、終点の釧路に着いたのは10:00。1時間ほど駅周辺で過ごした後、最東端に向けて出発する。雨の中だったが、東釧路を出ると晴れ間が見え始め、あとはただ好天。雄大な景観を堪能することができた。
根室本線の釧路~根室は、花咲線の愛称がある。その花咲線区間に乗るのは今回が初めて。往路は釧路11:12発-根室13:22着、復路は根室13:34発-釧路15:53着だった。
釧路町の中心駅、別保を過ぎるとたちまち原野、森林、湿地の様相。カーブが連続し、いきなり山岳区間に入ったようだった。門静から先は海が近づき、厚岸~茶内は主に湿原ゾーンに入る。その名は別寒辺牛湿原。花咲線屈指の絶景区間だと思う。
茶内、浜中、厚床はいずれも町中にある駅といったところ。駅を外れると森や林が基調になるが、別当賀から東に進むと風景が一変。高台から一望する大地、地平といった趣になり、そのスケールにただ驚くことになる。「地球探索鉄道」と称するだけのことはあると思った。
釧路~帯広は特急「おおぞら」(10号)に乗車。釧路~根室も釧路~帯広も運賃は同じ2,860円だが、特急はさすがに速い。釧路16:12発で、帯広は17:47に到着。快適な90分余りだった。
7/13(水)旧士幌線、タウシュベツ川橋梁
「タウシュベツ川橋梁」という鉄道遺産については前々から気になっていて、いつか訪ねてみたいと思っていた。橋としての形状をいつまで保てるかという点で近年はより注目度が高まり、筆者も何となく気が気でなかった訳だが、今回の道東ツアーで組み込むことができ、間近に見物。帯広からレンタカーで臨み、幾分遠回りするなどもあって約173kmを走り、その橋梁まで行って帰ってきた。
タウシュベツ川橋梁は国鉄士幌線の旧線でかつて使われていた橋。ダム湖工事と引き換えに旧線が水没する際、橋梁はそのまま放置され、湖面の水位変化に合わせて年とともに風化。白基調のコンクリートアーチ橋は今にも崩れそうな状態ながら形をとどめ、鉄道橋だった往時を偲ばせている。橋ができたのは1937年。ダム完成年は1955年というから橋として現役だった年数はごく限られていたことになる。とにかく一見の価値ある遺産だと思う。
自分の運転するクルマで北海道を走るのは初めてのこと。どうなることかと思ったが、道が単調で混雑する要素がないから至って快適。ゆっくり走っているつもりでも時速50kmを切ることはなく、10分も走れば10km近く進めるというのは心地良い感覚だった。
主に走ったのは国道236号、国道241号。士幌線の廃線跡と並行する感じのドライブで、同線にまつわる要素は事前にある程度調べておいたものの、実際に訪ねたのは旧士幌駅などが残る士幌鉄道記念公園くらい。国道沿いでは、糠平駅の跡地とそこに隣接する上士幌町鉄道資料館というのがあり、そこはしっかり見学できた。あとは、タウシュベツ川橋梁と同様のアーチ橋(第四音更川橋梁、第三音更川橋梁など)をクルマを停めて見物。上士幌町交通公園、中士幌駅跡、音更町交通公園は残念ながら立ち寄れなかった。
事前に調べた中で把握できなかったのが、タウシュベツ川橋梁に通じる林道の通行証などに関する件。ホームページで予約状況をチェックするなどしていたが、枠が埋まっていたため断念していたところ、ダメもとで上士幌町役場に寄って問い合わせたら当日枠の空きがあることを教えてもらい滑り込む感じに。道の駅「かみしほろ」で所定の手続きをし、めでたく林道経由で当の橋梁に足を運ぶことができた。役場、道の駅の皆さんには感謝感謝である。
ドライブメインの一日だったが、レンタカー返却後は特急で30分ほど移動。前日と同じ「おおぞら10号」に乗り、帯広から新得へ。そこからは列車代行バスで十勝サホロリゾートに向かう。代行バスだが、サホロリゾートのお客は無料送迎バスとしての利用が可。保養所気分で過ごし、いいリフレッシュになった。
7/14(木)ラベンダー、旭山動物園
6日間のうち3分の2を終え、残る2日間は交通アクセスが比較的平易になるため、気分的にかなり楽に。サホロリゾートからは再び列車代行バスで根室本線の東鹿越まで行き、そこからは列車で富良野へ。富良野まで来ればあとは何とかなる訳だが、観光列車「富良野・美瑛ノロッコ号」を予約していたため、それに間に合うように動く。富良野~中富良野は普通列車で移動。中富良野からは徒歩で北星山ラベンダー園などを経由しつつ、ファーム富田へ。同園でラベンダーを心行くまで観賞し、最寄りのラベンダー畑駅からそのノロッコ号に乗車した。行楽要素たっぷりの富良野線の旅だった。
旭川到着後は、ホテルに荷物を預けて念願の旭山動物園へ。「旭山動物園おもてなし券」なる宿泊者向けの入園券があって、迷いなくそちらをホテルで購入。何だかんだで動物園に着いたのは15時近くだったため、初日の園内滞在時間は2時間ほどだった。おもてなし券が素晴らしいのは入園料1回分(1,000円)で2日目も使えること。12時までに入園すれば閉園時間までいられるため、1日目(12:00~17:15)、2日目(9:30~17:15)で最大13時間満喫できてしまう。さすがにそこまでは行かなかったが、2日目は約3時間園内で過ごし、計5時間となった。まだまだ長居できそうではあったが、今回は程よいところで切り上げ。また来るかも知れないし… リピート系の動物園だと思う。
7/15(金)旭山動物園、新千歳空港
最終日は「Peachひがし北海道フリーパス」が使える西の端、小樽まで行ってなどと当初は考えていた。旭山動物園に2回行ける券があるならということで予定を変え、無理のない行程で新千歳空港へ。MM586便の時間(19:20発)を逆算し、旭川を出る。
旭川15時発の特急「カムイ30号」で札幌へ直行(16:25着)。札幌駅では、パネル展「鉄道開業150年のあゆみ」があり、まずはそれを見物し、駅ビル「パセオ」内にある郵便局では「札幌市制100周年記念切手」を買うなどした。快速「エアポート」は17:11発に乗ることにしていたので、駅内外での時間は40分ほど。みどりの窓口で「北のキハ183系記念入場券」を買った時点でギリギリな感じだった。
そんなこんなで新千歳空港駅には余裕を以って着いた訳だが、当駅は折よく7月1日に開業30周年を迎えたところ。記念入場券セットを買い、記念スタンプ押し、記念フォトスポットで写真を撮り・・・と記念づくし。離陸時間の1時間半前に駅に着いていたのに、チェックインしたのは1時間前で、空港内の飲食店で食事をするのもちょっと…となってしまった。こういうことなら、札幌駅(パセオなど)で軽く済ませておくんだったと思う。
5日間お世話になった「Peachひがし北海道フリーパス」は新千歳空港に着いたところでお役御免に。筆者分の行程で運賃等を合計すると26,390円で、パス代(16,380円)に対し約1万円のおトクという結果になった。自身のお土産としては、切符、切手のみ。駅では「北のキハ183系記念入場券」(200円×5駅)、「新千歳空港駅開業30周年記念入場券」(600円)を、とかち観光情報センター(帯広駅)では「愛国→幸福」記念きっぷセット(600円)を買い、札幌市の記念切手(1,000円)も・・・いつもながら安上がりなものである。
おまけ・・・地ビールとご当地ポスト
7/10の夜は北見のオホーツクビール、7/14の夜は旭川の大雪地ビール館で地ビールなどをいただく。両店ともグラスビールはクーポンで。ありがたい限りだった。
ご当地ポストに遭遇するのも旅の楽しみの一つ。今回は北見駅、根室駅、ファーム富田、旭山動物園で「これは!」的ポストを見つけた。
ノビノビと旅をするのが難しい日々は当面続きそう。次の旅行は9月か10月か。情勢を見ながら考えようと思う。
Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.