荒川流域で長く暮らしていると、荒川の増水シーンを目にする機会も自ずと増えてくる。そのうち、堤防の隣は水面、つまり河川敷が水没するほどの大水となったのは二度(次段参照)あって、いずれも脅威に感じたものである。今回の台風19号に伴う大増水は、1999年の増水時と同様、特に上流部で長く激しく降った雨を集めてのことで、ある意味想定内。13日の明け方に一望すると、そこには大きく川幅を広げた荒川の姿があった。大荒川である。
川は当然のように濁っていて、離れていても泥臭さが感じられた。流れが速いのも見てとれたが、気象庁の「洪水警報の危険度分布」で流域の警戒レベルをチェックしたところ、レベルが上昇する可能性は低いと判断。取り急ぎ近くに行ってみることにした。
10時台、新荒川大橋(→地図)の歩道には、それなりに人出があって、スマホなどを向ける人もチラホラ。風がまだまだ強かったため、橋の端まで行くのは避けたが、広がった川幅全体を見るため、中央部近くまでは行くことに。普段、橋の辺りの幅は200m程度だが、この時は2.5倍くらいにはなっていて、実に驚異的だった。川の流れと風向きが同じだったこともあって、強風で流速が増している観もあったが、とにかく流れは速め。濁りの方もただならない感じで、空が晴れ渡っていたのとは対照的だった。
橋から堤防に出る。荒川赤羽緑地は完全に水面下となり、緑地に通じる道も勿論寸断。堤防からすぐに川辺にアクセスできる状態になっている訳だが、警備等はなく自由に近づくことができた。自己責任で、ということなのだろう。
JRの鉄橋よりも上流側はどうかと言えば、サッカー場、ゴルフ場とも見る影なし。ゴルフ場コースと河川敷道路との境界線となる木々は、上部だけが連なる形でそれが川の流路を作っていた。二つの荒川、そんな感じだった。
埼京線の北赤羽駅付近からは、荒川に沿うように新河岸川が流れ、2.5kmほど東に進むと隅田川になる。新河岸川の水位も並々ならぬものがあったが、何とか無事だった。その跡はこの通り。初めて見る光景ではないものの、やはり凄まじいものを感じる。
ちなみに新河岸川の警戒レベルは、4(氾濫危険情報)が一定時間続いた。氾濫すると大変なことになるので、12日はヒヤヒヤしながら見守っていたが、幸い日付が変わった後(13日0時40分)にレベル3(氾濫警戒情報)に下がり、ひと安心。かつてない緊張感を味わったことは確かである。
台風19号は、三連休を狙い撃ちするようにやって来た。三連休のうち、10月14日は、呼称としては最後となる「体育の日」だったのと、「鉄道の日」当日だったため、その関係の行事、イベントは多かった。鉄道に関しては、年に一度のものなど恒例のイベントが集中していた時期だけに、仕事上も趣味上も痛かった。加えて、至る所で不通区間が発生。復旧までに長い期間を要しそうな区間も多く、秋の鉄旅への影響は必至・・・旅の予定は特段立てていなかったが、行こうとしていたエリアに行けないというのは少なからず出てくるだろう。(行くとすれば、復興応援企画のようなものに合わせてとか…)
という訳で、三連休はおとなしく過ごすことを決め、10月11日は朝早めにスーパーで買い出しなどに出る。一旦帰宅してから、いつものように出社。その帰途に別のスーパーを試しにいくつか覗いてみた。案の定、パンやインスタント食品を中心に品切れが目立ち、朝のうちに動いたことが吉と出る。12日は、その買い出し品などでしのぎ、13日は荒川などの様子見を兼ね、店舗の開店状況をチェック。午後から食事に出るなどした。14日はその気になればどこかに出かけられたかも知れないが、テレワーク日にしていたので遠出は無理。どの路線のどの区間が×といった情報を整理、メンテしていたら、夕刻になっていた。
鉄道のありがたさを改めて実感した一日・・・令和最初の「鉄道の日」は例年と違う形で鉄道三昧となった。今はただ、少しでも早い復旧を祈るばかりである。(被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。)