2023年も残り半月ほど。毎年このくらいの時期に一年の振り返りを始める訳だが、今年も何だかんだでよく動いた年だったなぁというのがまず挙げられる。それらのまとめは恒例の10~15大ニュースで紹介するのがいつものパターンだが、一項目で一話分に相当するものが出てきそうな場合は予告を兼ねて先行でというのも一手。
今回は旅先や出先で訪ねた、または間近で見物した名建築、歴史的建造物、博物館などのダイジェスト。そこを目的に足を運んだケースがメインだが、現地で情報を得て行ってみたら「!」となったものなどもある。とにかく一年でこれだけ建築物やいわゆる「〇〇館」にご縁があったというのは特筆すべきこと。日付順に振り返ってみようと思う。
富山市ガラス美術館(1/27)
第610話に記した1/26~29の富山・高山の旅で、2日目に訪ねたのが富山市ガラス美術館(→参考)。入館料が必要なエリアがある一方で、3階~5階は図書館を併設していることもあって建物内は最上階(6階)まで行き来が可能。美術館ではあるが建物そのものがアートのような館なので、その造形美などを鑑賞できればそれで十分という面がある。富山駅から歩いて行けないことはないが、路面電車がやはり便利。「市内電車・バス1日ふりーきっぷ」などを使う機会があればぜひ立ち寄りたいスポットだと思う。
高山市上三之町(1/28)、飛騨の里(1/29)
3日目は終日高山観光。上三之町をはじめとする「古い町並」を堪能した。「館」にあたるものとしては、飛騨高山まちの博物館、飛騨高山まちの体験交流館などを見学。4日目は「飛騨高山の集落博物館『飛騨の里』」で2時間近くを過ごした。伝統的な家屋、古き佳き建築を満喫した高山滞在となった。
朝倉彫塑館(5/16)、旧田中家住宅(5/27)など
5月は第618話に書いた通り、朝倉彫塑館、旧田中家住宅を訪ねた。いずれも名建築。「第96回五月祭」で東大に出かけた際は、農学資料館を見学した。上野英三郎博士とハチ公に関する展示は必見。
直江津学びの交流館(6/9)、高田世界館、旧師団長官舎、旧今井染物屋(6/10)
6/9は、北越急行のツアー企画「えちごトキめきリゾート雪月花 特別運行 & 六日町運輸指令区検修・直江津D51レールパーク貸切見学」に参加。タイトルの通り充実した内容な上、東京起点でも日帰りで行ける絶妙な設定だった。解散場所は直江津駅。せっかく上越エリアに来ているので、この日は上越妙高のホテルに泊まることにし、解散後はゆったり直江津駅周辺で過ごす。この時に寄ったのが直江津学びの交流館。鉄道コーナーを見学するなどした。
翌日は主に高田観光。レンタサイクルを使うのが良さそうだったので、高田世界館に行き自転車を借りた。同館内はその際に一部を見学。建物は国の登録有形文化財というからしっかり見させてもらうべきところだが、自転車返却後に余裕があればといった段取りにした。名建築が広く点在する高田。旧師団長官舎、旧今井染物屋を巡るなどしていたら、所定の3時間近くが経っていて急いで高田世界館に戻る。同館の見学はまたの機会ということとし、高田駅へ。回り道をしていたらその途中で「百年料亭 宇喜世」に出くわす。よく見ればここも登録有形文化財。界隈全体が歴史博物館・・・高田はそんな街だと思う。
いつきのみや歴史体験館(6/25)
6/23~26は高野山と近鉄の旅。歴史が長い建築物という点で高野山エリアはその宝庫だが、「〇〇館」にあたる建物については訪ねる機会がなかった。近鉄沿線の道中では、斎宮駅で下車した際に「いつきのみや歴史体験館」を来館。駅からすぐ&入館無料の上、体験プログラムもいろいろあって、館の外は「歴史ロマン広場」などが広がる。押さえておきたい施設だと思う。
七日町など(7/22)
7/22~23の旅は会津エリアがメイン。観光列車「びゅうコースター『風っこ』」を使った臨時列車に乗って只見線の復旧区間へというのをテーマに掲げ、列車起点の会津若松で前泊することにした。会津若松駅周辺で泊まるのが確実ではあったが、どうせ1泊するのなら観光要素がある「野口英世青春通り」辺りがいいだろうと考えた次第。会津若松の一つ隣の七日町からは歩いて行けることがわかったので、駅から東へ1km余り散策・・・ここで主に通ったのが七日町通りだった。沿道は目を惹く名建築が多く、通りを挙げてノスタルジック。七日町まちなみ協議会によるコンセプトは「商業文化が息づくレトロな町並み」(→参考)というから、そう感じるのももっともではある。
野口英世青春通りにも大正レトロに相当する建物がいくつかあって、明治後期から大正初期に建てた蔵と商家建築の代表格がある。通りに面した仏間蔵、店蔵、炭蔵はいずれも黒漆喰(黒磨き)で美しい。この福西本店の蔵など(6棟)もまた国の登録有形文化財である。
旧秋場家住宅(9/3)
青春18きっぷの日帰り旅で房総方面に出かけたのが9/3。外房線の東浪見駅で下車した際、周辺を歩いていて見つけたのが旧秋場家住宅だった。外観を眺めただけだったが、これが何と登録有形文化財(→参考)。知る人ぞ知る的な一軒だろう。
山形まるごと館「紅の蔵」、山形県郷土館「文翔館」(10/14)
第628話で綴った山形の旅でのイチ推しは、山形県郷土館「文翔館」。名建築と博物館を兼ねた建物という点でも意義深いと思う。
九州鉄道記念館(11/7)
11/7に来館した九州鉄道記念館。記念館そのものが旧九州鉄道本社の建物につき、歴史的建造物と言える。こちらも国の登録有形文化財(→参考)。本館にあたる建物が登録有形文化財になっている鉄道関連の施設はそうそうないだろうからその意味でも必見だろう。
埼玉県立自然の博物館(11/14)
今年の「埼玉県民の日」(11/14)は、小鹿野で泊まった翌日だった。第630話の通り「星音の湯」で温泉浴などをした後、シャトルバスで長瀞駅まで送ってもらい、秩父鉄道で隣の上長瀞駅へ。500mほど歩くと埼玉県立自然の博物館に着く。11/14は入館無料なのでここで閉館時間まで過ごし、次は「月の石もみじ公園」で少し早い紅葉を眺め、暗くなってからはライトアップと竹あかりを観賞。近年の11/14は東武や秩父鉄道のフリーきっぷ(埼玉県民の日仕様)を使って乗り降りに励むことが多かった訳だが、今回は秩父・長瀞エリアでゆっくりするパターンとなった。
物流博物館(11/22)
2021年4月以来、何かとお世話になっている物流博物館。2023年は鉄道貨物輸送150周年にあたる年ということで、同館でもその記念企画の一環で特別展が開催されている。これも何かのご縁ということで、主任学芸員の方に寄稿をお願いする運びとなり、その打合せを兼ねて展示を見させていただいた。12/23は「鉄道貨物輸送の移り変わり」をテーマにした映画上映会が行われるということで、そちらも申し込み済み。しっかり見聞を深めようと思う。
- 特別展「汐留駅にみる貨物鉄道と通運のあゆみ」(→PDF)
- [寄稿]物流博物館で開催、貨物駅「汐留駅」をたどる特別展
文中に記した分を含め、「〇〇館」(またはそれに相当)で入館したものを一覧にすると以下のようになる。
月 日 | 建物名・施設名など | メモ |
1/27 | 富山市ガラス美術館 | |
1/28 | 飛騨高山まちの博物館、飛騨高山まちの体験交流館 | |
1/29 | 飛騨の里 | |
3/22 | 飛鳥山博物館 | 春期企画展「I♥スーパー・・・スーパーマーケットのチラシにみる昭和」(→#615) |
5/13 | 東大農学資料館 | |
5/16 | 朝倉彫塑館 | 「国際博物館の日」無料公開 |
5/27 | 旧田中家住宅 | |
6/9 | 直江津学びの交流館 | |
6/10 | 高田世界館、旧師団長官舎、上越市立歴史博物館、旧今井染物屋 | |
6/22 | いつきのみや歴史体験館 | |
10/14 | 山形まるごと館「紅の蔵」、山形県郷土館「文翔館」 | |
11/7 | 九州鉄道記念館、ゼンリンミュージアム | 「貨物鉄道輸送150年企画展」(九州鉄道記念館)、企画展「くきのうみ~近代産業の中心地 若松・戸畑・八幡~」(ゼンリンミュージアム) |
11/14 | 埼玉県立自然の博物館 | 「埼玉県民の日」無料 |
11/22 | 物流博物館 | 特別展「汐留駅にみる貨物鉄道と通運のあゆみ」 |
・・・という訳で次回は「2023年〇大ニュース」を掲載予定。ひとつお楽しみに(&よいお年を)。
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