鉄道開業150年だったり、全国旅行支援だったり、今年の10月は「鉄道×旅」に打ってつけ。10月14日の「鉄道の日」は記念日に相応しい行先として京都鉄道博物館に行くことを決め、それを軸に2泊3日の二人旅に出かけ、その翌週(10月21日~23日)は、150年記念企画の一環で発売された「JR東日本パス」を使っての一人旅に出た。西へ北へとよく動いたものだと思う。
それらを振り返るとちょっとした長編になってしまう可能性があるので、今回はぐっと抑えて旅先での「え?」とか「おっ!」といった件に限ってご紹介しようと思う。
10/14(金)
堀川五条にあるホテルにまずは向かい、荷物を預けてから動くことに。JRの丹波口で降り、五条通を東に進み、堀川通と交わればホテルはその近所。だが、そこから京都鉄道博物館に行くにはまた丹波口に戻って最寄りの梅小路京都西に出るか、市バスで南に下って七条通を歩くかという二択で、どちらも多少の交通費がかかる。それなら市バスで少々観光し、その延長で博物館に行くのもいいだろうと考え、晴明神社を訪ねることにした。堀川通を北上すればよく、ホテルの前からは市バスで一本。帰りは同じ系統のバスで南下し、七条堀川で下車すれば、京都鉄道博物館までは約1kmである。
市バスは初乗り230円。2回乗れば460円だろうと思っていたら、90分以内の乗り継ぎで90円引き(→参考)ということで370円で済んだ。これはちょっとした驚きだった。
この日の最大の驚きは何と言っても京都鉄道博物館のコンテンツの多さ。13時過ぎに入館したのはいいとして、閉館時間(17時)まで4時間近くもあれば普通は何とかなると思う訳だが、これが甘かった。晴明神社の行程を省いたとしてもおそらく足りない・・・ホテルも何もなく、京都駅に着いたら博物館に直行するくらいでないとひととおり見て廻るのは難しそうだ。とりあえず「鉄道の日」を当館で過ごすことができたのは大変意義深く、学ぶところ大だった。
博物館からの帰りは梅小路京都西からひと駅乗って京都へ。食事などの後、京都→五条の一区間を地下鉄で移動してホテルに戻るつもりだったが、ひと駅分をわざわざ地下鉄に乗る必要もない感じだったので徒歩で帰ることにした。烏丸通を歩けば、東本願寺の前を通ることになる。そこで驚いたのが山門「御影堂門」の大きさ。巧い具合にライトアップされていて、より重厚に映るものだからそこでしばらく釘付けである。正面21m、側面13m、高さ27mとある。9階建ての建物に相当する高さの門。世界最大級というのも頷ける。
ホテルでの驚きは、インバウンド客がとにかく多かったこと。エレベーターに乗ろうとする度に密状態になる人数のグループと遭遇するものだから、上下に移動するのがひと苦労。大浴場もとてもくつろげるものではなかった。そんなこんながあった上に、ホテルが面する堀川通の交通量が深夜になっても減る気配がなくなかなか騒々しいものだからこれが寝付けない。
不本意ながら宿泊先での睡眠時間の最短記録を更新することに。それでも10/15は概ね予定通り動くことができた。それはそれで驚きだった。
10/15(土)
二人旅で来た京都だが、この日は基本的に別行動。筆者は「叡山電車・京阪電車1日観光チケット」を使い、叡電の未乗区間、京阪の未乗降駅を主に廻ることにしていて、予定していた行程表に一応沿う形で日中を過ごした。
初めて乗った叡電の鞍馬線(宝ヶ池~鞍馬)はやはり山岳路線だったこと、叡山本線(出町柳~八瀬比叡山口)を走る観光列車「ひえい」は想像通りインパクト大だったこと。京阪では寝屋川市~枚方市(約5.5km)の連続立体交差事業(→PDF)に伴い、すでに香里園駅界隈の更地化が一部で始まっていたことが衝撃だった。
10/14は丹波口~堀川五条など、10/15は堀川五条~烏丸五条~清水五条などを歩き、2日間で五条通の約2.4km分(丹波口~烏丸五条~清水五条)を歩き通した。東西を結ぶ鉄道が五条通にはないためにこういうことになった訳だが、これはこれでいい体験になったと思う。
10/16(日)
10/14からの2泊3日を思いついたのは、8月にリリースが出た「近江鉄道線10月16日全線無料デイ」(→参考)がきっかけ。関東エリアでは山万(→駅ログ#3023)、東急池上線(→#483)、東武宇都宮線(→駅ログ#3312)で実績があるが、近畿圏では初とのことで大いに心惹かれる。初云々もさることながら、一部区間でなく全線、近江鉄道グループの「ありがとうフェスタ」なども同日開催といった点もポイント。という訳で3日目は京都から離れて主に滋賀県で過ごすことになった。
近江八幡に着くと、近江鉄道の同駅は予想通りの混雑。ラッシュ並みだったが何とか乗り込み、ひとまず八日市へ。ところが一つ手前の新八日市で動きが止まる。八日市駅での乗り降りが激しく、ダイヤが乱れて入線できないとか何とか。新八日市~八日市の駅間などについては過去に来た時に承知していたので、ここは降りて歩くのが早道と考え敢行。結果、八日市エリアの連携イベント会場にも速やかにアクセスでき、混乱なく次の行程に進むことができた。
八日市からは彦根に行き、「ありがとうフェスタ」を見物する予定だった。が、八日市駅は入場規制がかかるほどの盛況につき、いつ乗れるのかわからない。となれば今度は新八日市から乗ればいいと思い至り、再度ひと駅散歩。いいタイミングで八日市行きに乗ることができ、八日市では米原行きにしっかり接続・・・たまたまだが、13:11発の列車が20分以上遅れていたおかげで待ち時間がない感じでの乗り換えとなった。
米原行きももちろん大賑わい。途中駅での降り乗りも考えていたが、一度降りると次が怪しい状況だったので素直に彦根まで乗車した。
当初プランでは、多賀大社や水口の方にも足を延ばし、ほぼ全線を乗るつもりだった。結局、近江八幡~新八日市~(八日市:乗換)~彦根~米原~近江八幡というのがこの日の行程。乗降したことのない駅を訪ねるといったお決まりの件は叶わなかった。
全線フリーながら、易々と下車できないジレンマ... 自由度という点でフリーとは言えなかった企画だが、盛り上がりという点においては大成功だったのではないかと思う。
「JR東日本パス」のリリースが出たのは5月のこと。JR東日本エリアで新幹線、特急を含めた乗り放題のきっぷが出るのはそうそうないことなので、早くから計画を立てていた。当初の趣旨は、できるだけ遠く+未乗区間も行けるだけといったもの。津軽線の端の方、花輪線の十和田南以南などをこの際にと考えていた訳だが、「8月3日からの大雨」の影響で両線とも路盤流出等があり、長らく不通という状態になってしまった。
それならばと10月に全線再開となった只見線を組み込むプランを思いつくも、当てにしていた臨時列車2本(只見線満喫号、只見Shu*Kura)が事前受付を入れても指定券がとれずという結果に(9/17に申込→9/23に不成立の案内)。10/21~23のうち、最終日を只見線でとのルートが成り立たなくなったため、またまた見直すことになった。
最終的に、10/21:地元駅~大宮~八戸~鮫~八戸~盛岡~北上~横手~秋田~象潟~秋田、10/22:秋田~新屋~秋田~泉外旭川~秋田~盛岡(乗換)~新花巻~釜石~唐丹~釜石、10/23:釜石~鵜住居~釜石~新花巻~郡山~那須塩原~新白河~大宮~本庄早稲田~熊谷~大宮~地元駅という行程で、未乗区間、未乗降駅を入れつつも新幹線を基本に効率よくといった旅になった。新幹線(自由席)が使える以上はそれをメインにすべきで、特急で行けるところがあればとにかく活用というのが「JR東日本パス」の王道だろう。秋田~象潟の往復で特急「いなほ」に乗ったり、下車したことのない新幹線駅を訪ねたりというのは我ながら名案だったと思う。
路線の完乗の方は、八戸線(八戸~鮫)、北上線(全線)、釜石線(上有住~釜石)で果たすことができ、成果としてはまずまず。あとは津軽線、花輪線の残り区間、只見線の鉄道復旧区間(只見~会津川口)を乗ればJR東日本は全線・全区間達成となる。(ローカル区間なので18きっぷなどでいずれと思う。)
10/21(金)
この日まず向かったのは八戸。大宮7:57発の「はやぶさ」(5号)で八戸には何と10:24着(約2時間半)という速さで驚く。八戸からは八戸線で残っていた鮫までの区間(通称「うみねこレール八戸市内線」)を往復。1990年8月7日、苫小牧港から「シルバークイーン2」に乗船し、翌朝に八戸港に着いたはいいが、フェリーターミナルが駅から遠いものだから前途多難に。八太郎大橋付近で地元の方に助けられ、クルマで鮫駅まで送ってもらったという一件があり、当駅はその時以来の訪問となった。
当時は鮫から久慈方面に向かったため、八戸~鮫は未乗。まさか30年以上も空いてしまうとは思わなかったが、「JR東日本パス」のおかげでようやく念願が叶った。短距離ながらも見どころは多々。鮫駅周りを含め、その往復で撮った写真等は130枚と相成った。
次のテーマは北上線。本数が少ない(全区間を結ぶ列車は下り7本、上り6本)こともあってなかなか機会がなかったが、新幹線移動のおかげで数少ない午後の一本に乗ることができた。驚いたのはその混み具合。キハ1両は満員で、筆者はほぼ立ったままでの乗車となった。八戸線でも行われていたが、「普通列車全線交通量調査」なるものが北上線でもあって、その用紙の一部が少々見えたので控えさせてもらった。ほっとゆだ到着時で52人。そこで7人乗車&9人降車で50人に。その後、相野々で3人降りるまで推移はなく終点の横手に着いた時点で47人とのことだった。座席定員は50人程度。満席になる筈である。
秋田~象潟では、E653系の「いなほ」に乗る。往路は「瑠璃色」、復路はオリジナルデザイン(ファンの間では「フルーツ牛乳」?)のE653系で、在来線特急乗り放題ならではの恩恵に与る。秋田駅に着くと、上野からはるばる10時間かけてやってきたE655系「なごみ」と遭遇。E653系、E655系をセットで撮れるチャンスは滅多にないものと思われる。
10/22(土)
秋田で泊まることにしたのは、秋田駅開業120周年などを記念した催し「秋田エリアプレミアムフェア2022」(→PDF)があったため。晴れればよりよかったと思われるが、あいにく午前中は雨。朝食の間は豪雨状態で仰天だった。
フェアの一環で、「奥羽本線7駅開業120周年記念入場券」の発売があった。せっかく朝から秋田駅近くにいるので並んで買うことにした。150円の入場券7枚セットなので、1セット1,050円。皆が皆、価格を把握している訳ではないので、買う段になってあれこれやる人が多く、列がなかなか進まない。価格を明記した貼り紙やボードを出すとか、案内スタッフが「2セットお求めの方は2,100円ご用意を」といった一声をかけるとかすればよさそうなものを… 秋田支社の運営、捌き方のレベルがわかる一幕だった。
駅探訪シリーズで新屋、泉外旭川の2駅を訪ね、秋田駅に戻って来ると、E655系団体専用列車(11:14発、横手行き)が待機しているところだった。前日に続く撮影ができ、この日はしっかりお見送りも。秋田に来た甲斐は大いにあったと思う。
秋田~盛岡は「こまち」(24号)、盛岡~新花巻は「やまびこ」(64号)で移動。「こまち」は全席指定だが、立席特急券などの客が入ってきて車内は押せ押せに。多客に伴う遅延に加え、雨による徐行運転もあって、盛岡到着は7~8分遅れだった。13:48着→14:08発の余裕のある乗り継ぎの筈がこれで10分程度に。特に支障はなかったが、留意したい一件だと思う。
新花巻から乗ったキハは2両編成。2両あればと思うが、北上線同様こちらもほぼ満席で驚く。遠野を過ぎた辺りから着席し、終点まで。釜石到着を以って釜石線は完乗となり、秋田から釜石まで来たことで日本海側から太平洋側への鉄道での横断も果たせた。
「JR東日本パス」はJRのみならず、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道、北越急行、伊豆急行、富士急行などもフリー。せっかくなので三陸鉄道を少しばかり乗ることを考え、釜石から二つ南の唐丹に行ってみることにした。駅を除いて周囲は真っ暗という地。筆者を除いて乗り降りはないだろうと思っていたら、唐丹から乗車する外国人旅行客が一人いて驚かされる。暗い中を歩いて辿り着いたのか、現地で何かをしてきた帰りなのか... 3日間の旅行中、最大の謎である。
10/23(日)
早起きして三陸鉄道のプチ往復。今度は北に二駅行って鵜住居へ。「震災学習列車」で出てくる駅なので、どんなものかと思ったら「釜石祈りのパーク」の各施設が整備されていて感服しきり。「津波高のモニュメント」には驚愕するしかなかった。
ホテルを出ると、SL銀河の牽引機「C58-239」がちょうど釜石駅に向かうところだった。SLが単独で走るシーンというのはレアだと思う。撮影の続きは駅で。「鉄道開業150th」のヘッドマークつきだったというのはちょっとしたサプライズだった。
新花巻に着いたら、「JR東日本パス」の本領発揮。行って戻っての降り乗りは普段はローカル線でやっている訳だが、今回は新幹線で試す。那須塩原13:59着-14:23発、新白河14:33着-14:50発の行ったり来たりで新幹線駅を二つクリアできた。大宮到着後は上越新幹線でもチャレンジ。こちらは本庄早稲田まで行ってから熊谷でも下車という順当なパターンで臨んだ。(本庄早稲田16:38着-17:24発、熊谷17:33着-18:02発)
これで東北新幹線は東京~福島の全駅、上越新幹線が越後湯沢までの全駅、それぞれ乗降済みに。「新幹線YEAR2022」に相応しい自分なりの成果だと思っている。
次なる旅行は、11/3~5の予定。「え?」や「おっ!」が多々あったらまたまとめようと思う。
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