線路を切り替える工事があると、まる1日かそれ以上、一部の区間が運休になるのは承知の通り。近年でめぼしかったのはJRの渋谷駅で、これは!という時は足を運び、これまで第546話、第607話などでその様子を綴ってきた。この手の話は定番ネタと言える。
そんな工事&運休が今度は東京メトロ東西線であるというので、その初日(5/11)に現地に行ってみることにした。運休区間は東陽町~西葛西(約3.9km)。その間にある南砂町駅を1面2線から2面3線に変えるというのが工事の要旨で、今回はその1回目だった。出入口や改札口の変更(廃止、新設等)も伴うことから、工事の規模はそれなり。運休日も5/11・12の2日間、両日とも始発から終電までまるまるというのだからインパクトは大きい。メトロの東西軸が止まってしまうとなると、東陽町~南砂町~西葛西を代行バスで結ぶだけでは心許ないようで、振替輸送区間(→参考PDF)を拡げた上で迂回乗車が強く推奨された。千代田線の綾瀬から東西線の行徳、浦安などへ行こうとした時、今回の振替範囲では綾瀬~柏~船橋~西船橋(~東西線)といった具合に、東武野田線を経由することも可。途中駅での下車はNGであっても、柏と船橋についてはどうしたって改札の外には出ることになるので、ちょっとした用向きがあればこの迂回&振替はおトク感があった。そんな広域迂回も魅力的ではあったが、筆者としてはやはり運休区間の前後と代行バスが優先事項。メトロの24時間券を使い、まずは東陽町をめざした。
地元最寄りの赤羽岩淵を起点に、10:33発の新横浜行きに乗車。飯田橋を少々ブラブラし、東西線の専用改札を経由しホームに着くと、茅場町行きと東陽町行きが交互に来るという運用になっていて「!」となる。先発が茅場町行き(11:07発)だったので、それで隣の九段下まで。珍しい行先の列車をそこで見送り、次の東陽町行きを待った。
この日の東西線の運転は、三鷹・中野~東陽町、西葛西~葛西、葛西~西船橋の三区分。東陽町から東は列車では行けないので、代行バスということになり、駅ではそのオペレーションでスタッフを厚めに配していた。1番線(西船橋方面)は降車専用で、降りた先の自動改札通路は出場専用。逆に入場専用の改札機を進むと、その先が乗車専用の2番線(中野方面)になっていた。しっかり分かれていたので当惑する乗客は少なかったようだ。
その改札を出た先の3番出口についてもバス客優先になっていて、外に出ると代行バスの誘導で賑やかな印象。思いがけずバス待ちの先頭になり、待ち時間が気になるところではあったが、数分程度でバスは来た。近くにいたスタッフの話では、20分来なかった時間もあったそうな。ともあれ11:40頃に東陽町駅を出発し、地元ではおなじみの国際興業のバスに揺られる。進行方向が葛西とは逆の日本橋方面だったのでどうなることかと思ったら、すぐに左折し南下。経路については特に案内がなかったので、さながらミステリーツアーの様相だった。丁字路を左折し、通常はバスが通らない塩浜通りの約600mを経て、貨物線(越中島支線)を越えて左に曲がると次は明治通りを北上。日曹橋交差点を右折し、ようやく東西線と並走する永代通りに入り、工事が進む南砂町駅をひと廻りしてから再び永代通り(からの清砂大橋通り)というルートだった。
途中で乗降できる停留所は南砂町駅のみ。快速バスのような感じではあったが、渋滞箇所があったり、東陽町~南砂町が大回りだったりで、結果として25分を要した。道中、東陽町に向かう代行バスと何台か行き違う訳だが、驚いたのはそのバリエーション。東京メトロが自前でバス車両を持っていない故の話で、特にバス好きな方々にはたまらない運用だったものと思われる(実際、歩道橋などからカメラを構える「バスファン」を多く見かけた)。
時間がかかった分、遊覧気分を楽しみながらの代行バスだった。降車地点は駅から少し離れていて、西葛西駅までは最短で270mほどの場所。案内に従い駅をめざした。
西葛西→葛西の時刻は調べていなかったので出たとこ勝負。12:13発とのことで、タイミング的には良かったが、すぐに発車となるとあれこれ撮っている余裕はない。何につけレアだったのは、線路切替の対象ではない方の西船橋方面(駅北側)の線路を単線で使うというもの。西葛西~葛西が単線の扱いとなり、そこを列車が行き来するのだから、これを鉄道ファンが放っておく筈がなく、西葛西でも葛西でも、それ目当てと見受ける撮影者は多かった。葛西駅でも対面式のホームは普段とは異なる使い方で、どちらも葛西発着(往復列車)の専用に。北側の1番線(西船橋方面)は葛西~西葛西、南側の2番線(東陽町方面)は葛西~西船橋という分け方・・・駅に着く時の方向はいつも通りだが、駅を出る時が逆転する形(東方面が西方面ホーム、西方面が東方面ホーム)だった。これには戸惑う利用者も少なからずいたようだ。
せっかく葛西まで来たのだから、さらに東に行っても良かったのだが、葛西だからこその一手があった。何かの伝手でずっと持っていた空港行き高速バスの回数券をこれを機に使い、羽田まで行ってしまおうというオプション。葛西駅12:24発というのは調べてあったので、その一本で羽田空港第2ターミナルに向かった。さすが高速バスというのは快適なもので、葛西臨海公園駅付近から首都高湾岸線に入るとスピード感もさることながら、その景色が佳く、すっかり観光モードに。京葉線と並び、新木場からはりんかい線を横目に走り、お台場エリアを抜け、東海道新幹線の大井車両基地、JR貨物などの東京貨物ターミナル駅... 乗車時間は先の代行バスとほぼ同じだったが、ひと味違う25分となった。
空港自体に用はないので、東京モノレールの改札へ。そこで「プラレールスタンプラリー」のスタンプを押し、近くにあった丼系チェーン店でお昼にする。この後はどこかしらで東京メトロに戻る必要があったので、京急からの都営地下鉄コースで都心方面へ。14時半目安で新橋に行く件があったので、それに間に合うように乗り換えたり、改札を出たりだった。
銀座線の新橋駅を降り、(鳥取県×岡山県アンテナショップ)「とっとり・おかやま新橋館」に向かう。当館2階のカフェで待ち合わせし、日本環境協会に出向扱いで勤務していた際にお世話になった方々と何年ぶりかで会い、お互いの近況話などで1時間半ほどを過ごした。東西線運休周りだけであれば24時間券を使うには及ばなかったかも知れないが、この新橋の一件が加わったことで動く範囲が広がった形。葛西~羽田はおまけのような観はあるものの、バスの乗車もテーマと考えれば我ながらうまく組んだものだと思う。再会、対談の後はこれといった予定はなかったので、当初はそれほど関心のなかった「プラレールスタンプラリー」の続きを進めることに。ただし、東京メトロで廻れるスタンプ対象駅はもともと限られていたので、所定の10駅達成はまず難しい。帰りのルートも考慮し、東京駅と池袋駅でスタンプを押したらこの日は終了ということにした。
そんなこんなでこの日のメトロ乗車は、改札通過基準のきっぷ運賃合計で1,520円に。第640話の都営地下鉄周遊での歩数は2万歩を超える強歩系だったが、今回は1万5千歩超とまずまずの水準で、よく乗って程よく歩いた、そんな一日となった。24時間券のいいところは、翌日も記載の時間までは使えること。十分に活用できたと思う。
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