2022年度は「JR東日本パス」のおかげで、新幹線を軸にあちこち旅することができた。ありがたいことこの上なしである。(→第608話、第615話など)
「鉄道開業150年」にちなんだ企画乗車券だったので、斯様なきっぷは当分出ないだろうと思っていたら、平日限定・期間限定ながら素晴らしいフリーきっぷが登場し、感嘆状態。「旅せよ平日!JR東日本たびキュン 早割パス」(略称:キュンパス)である。
本件リリースを見て最初に思いついたのは、「お先にトクだ値」などを組み入れつつ、往路か復路で「キュンパス」を使うというプラン。何なら函館までおトクに行って、新函館北斗~新青森は「お先にトクだ値スペシャル」(50%OFF=大人3,750円→参考PDF)で移動、JR東日本エリアに入ったら最終日は「キュンパス」で寄り道しながら新幹線でといった感じで、2/23~2/26を念頭に考えていた。が、2/23の東北・北海道新幹線のリーズナブル枠を押さえ損ねたことで見送りに。その代わりと言っては何だが、2/26の一日で未乗区間をテーマにしつつ、できるだけ遠くに行って帰って来るのもいいだろうとなり、概ね予定通りの日帰り旅ができた。
今回はその「キュンパス」旅のあれこれ。毎度の如く観光&グルメ関係は二の次につき、専ら「乗り鉄」系の話になる点、ご承知おきいただければと思う。
大まかな行程は、地元駅~浦和~大宮~二戸~いわて沼宮内~奥中山高原~好摩~大館~弘前~北常盤~新青森~大宮~東京~神田~上野~尾久~地元駅。新幹線乗車は大宮~二戸~いわて沼宮内、新青森~大宮~東京の計4回で、キュンパスでの普通車指定席2回分は大宮~二戸(はやぶさ5号)、新青森~大宮(はやぶさ44号)に充てた。二戸~いわて沼宮内は「特定特急券」扱いでの乗車、大宮~東京は自由席。運賃や料金を駅を下車した基準でひととおり計算してみたら、4万円を超えていた。約75%OFFだったことになる。我ながら(いつものことだが)よくもまぁ…である。
大宮駅にて
「はやぶさ」5号は7:57発。30分前には大宮に着き、「スーパートレインスタンプラリー」の対象スタンプを押したり、北陸新幹線延伸(金沢~敦賀)前の路線図などを撮ったりして過ごす。ホーム上の行先案内表示も今のうちだろうと思ってカメラを向けたら、金沢の隣に「福井・敦賀」がすでに入っていてビックリ&ガックリ。気が早いことで…
東北新幹線下り、進行方向左の車窓
前日が雨だったせいか、空気が澄んだ感じで車窓も良好。大宮駅を出た先では西に富士山が望め、宇都宮を過ぎると日光の男体山や女峰山などが間近に見えた。
盛岡に近づくと、主に矢巾町、雫石町が接する辺りの山並みが見渡せ、雪山の装い。天気が気になるところだったが、盛岡駅を発つと晴れ間が優勢になり、俄かに虹も現れた。キュンとなる光景と言っていいかも知れない。
アクセス難度高めの二つの新幹線駅
今回のような新幹線乗り放題のパスがある時は、新幹線でないと行けない駅を少しでも訪ねようと思うのが筆者流。かねてから気になっていた盛岡と八戸の間にある二つの駅、いわて沼宮内と二戸は停車する本数が限られていることもあって難度は高めなのだが、時刻表を念入りに調べて一つの解を得た。それが二戸(10:12着-11:18発)→いわて沼宮内(11:30着)という行きつ戻りつパターン。定期列車に限れば二戸は上下各12本、いわて沼宮内に至ってはこれが各8本である。同じ方向で進もうとすると2時間後とかそれ以上とか待つことに。そんな両駅での降りて乗ってができたのは、一大成果だった。
奥中山高原での極寒体験
いわて沼宮内での下車後、新幹線で盛岡方面に行こうとするとこれが見事に2時間後。「キュンパス」のありがたさは、いわゆる三セクの路線などでも使えることにあり、ここでIGRいわて銀河鉄道を利用し、時間の有効活用が図れたのは大きかった。
行程上、盛岡まで行く必要はなかったため、北に進んで再び南へというパターンでいわて沼宮内(11:58発)→奥中山高原(12:10着-32発)→好摩(12:52着)と乗車。二戸が寒いのは予報等で承知していたが、一戸町にある奥中山高原も極めて寒かった。コンビニが徒歩圏内にあったので往復したが、その間にすっかり冷えてしまい、特に手指が厳しい状態に。手持ちのカイロを握るだけでは心許なかったので、厚手の手袋をより効果的に使う上で持参していた透明薄手の手袋にカイロを仕込み、熱が手袋内でとどまるようにしてみた。これが実に有効で、気付けば手が汗ばむくらいに。薄手なのでカメラ等もそのまま操作できるのがまたポイント。寒さが転じてちょっとした閃きを得た恰好である。
花輪線の雪景色など
ここ数年間、東北エリアを精力的に周遊した甲斐あって、まだ乗ったことがない区間というのはかなり減ってはいたものの、最後の方になるほど当然難度はアップするため、意を決して臨む必要が出てくる。花輪線はその最たる路線で、先の「JR東日本パス」では同線経由を最優先とする行程を考えていたところ、2022年8月の豪雨で鹿角花輪~大館が不通になってしまったことで断念。2023年5月に無事再開し、改めて計画を練るも延び延びになっていたという経緯がある。
そんな花輪線を今回は南の起点、好摩から乗ることに。1998年11月の旅で十和田南~大館は乗車済みだったので、残っていたのは好摩~十和田南(77.7km)。この区間に限れば乗車時間は100分余りで、割とあっさりした感じではあった。
基本的には雪景色だったが、松尾八幡平からの山岳区間の深雪、赤坂田での吹雪、湯瀬温泉~八幡平の雪渓、八幡平付近の雪による視界不良など、同じ雪でも実にさまざま。雪山や樹氷も見応えがあった。
イチ推しは、陸中大里~十和田南の田圃や湿地で見られるハクチョウ(オオハクチョウかコハクチョウかは不明)だろう。十和田南に着く手前では数え切れないほどの大群を見かけ、大いに驚くことに。当地は有名渡来地なのかどうなのか、追い追い調べてみようと思う。
せっかくなので温泉へ
二戸、大館、弘前方面への旅ということで、そのエリアの予報を何度となくチェックしていた筆者。2/26は他の日に比べれば寒さも想定内で、天気もまずまずの筈だったが、前々日や前日になると様相が変わり、なかなかハードな状況に。フリーパスがある以上、訪ねたことのない駅をできるだけというのが基本方針で、降り乗りの候補もいくつか挙げていたところ、前夜になってその辺りを練り直すに至る。寒さ厳しい中を外でとか、それなりの距離を徒歩で移動して駅をつなぐとかはなし。どうせなら駅近の温泉(公共施設)に行ってのんびりしようと思い立ち、奥羽本線の浪岡、北常盤のいずれか(または両方)に行くプランが最有力となる。
弘前16:15発の列車で、北常盤は16:29着、浪岡は16:35着。次の列車(弘前16:51発)は北常盤17:03着、浪岡17:09着なので、仮に北常盤で30分ほどの間に温泉浴ができたら、浪岡にも寄ってその次の17:57発で新青森へというのも可能と考えた。実際は北常盤の「ときわ温泉」ですっかりくつろいでしまったので、同駅17:51発で新青森に向かい、奥羽本線の旅は終了。温まった状態を保ったまま新幹線という理想的な形で帰路につくことができた。
ときわ温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉。とは言っても塩分が感じられ、ぬるっとした感触も。温度も高めでなかなか本格的だった。社会福祉法人の温泉施設ということもあって、大人通常300円と実にリーズナブル。奥中山高原などで冷えてしまっていた分、よりありがたい入浴となった。館内滞在は45分ほど。浪岡駅前温泉に行くには及ばなかった訳だが、そちらはキュンパスのモデルコースで紹介されていたので、行ったところでNGだった可能性はある。ともあれ26日と言えば語呂合わせで「お風呂の日」。思し召しだったのだと思う。
最後は「スーパートレインスタンプラリー」
大宮到着は21:01。そのまま帰宅してもいい時間だったが、こに日はなぜかお疲れ感がなかったため、もうひと頑張りすることにした。新幹線フリーのメリットを活かし、「やまびこ」220号に乗り換えて今度は東京へ。「JR東日本 スーパートレインスタンプラリー ~平成を駆け抜けたすごいヤツ~」のスタンプミッションをクリアするためである。残り六つから始めて、朝のうちに浦和と大宮で押しておいたため、あと4駅分。東京、神田、上野、尾久の順で廻りひとまず10駅分をコンプリートできた。新幹線を使って早々に東京に着いたのが大きかったようで、それほど遅い帰宅にならずに済む。
ミッション分を加えたことでキュンパスを使った旅は約16時間という長丁場に。感じはつかめたのでもう一回トライするのもアリなのだが、設定期間は3/14まで&購入できるのは2週間前ということでさすがに… 次の東日本エリアの旅はまた「どこかにビューーン!」を使ってとかになりそうだ。
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