9月20日は、「空の日」であり、「バスの日」でもある。日常的に空をよく撮っているので、空に関する話題でもいいのだが、2023年は「日本のバス120年」という節目に当たる年なので、今回はバス。120年前、1903年の9月20日、日本初の営業バスが京都の堀川中立売~七条~祇園で運行したのが始まりというから歴史は古い。京都では、1895年に京都電気鉄道が路面電車の運転を始め、1903年には路線網が拡充しつつあった。そんな中でのバスの開業だったことになる。営業用の電気鉄道も京都が最初なら、バスも発祥。当時の京都の先進性が感じられる。
アニバーサリーに合わせてという訳ではないが、2023年は今のところバスに何かとご縁があって、1月から7月にかけては月に最低1回はバスに乗る機会があった。首都圏においては、江ノ電バス(1/1、4/11)、国際興業バス(3/21、5/27→第618話)、羽田空港のターミナル間無料連絡バス(3/23)、都バス(5/13)、横浜市営バス(7/6)といった具合。これだけでもそれなりだが、旅先でも飛騨高山周遊バス(1/28・29)、熊本電鉄バス(2/28)、南海りんかんバス(6/23・24)、会津バス(7/23)、南越後観光バス(7/24)とエリアもバス会社も多様な感じになっている。事業者単位で10社局。これは例年にない数だと思う。
乗る機会が多ければ、「あれれ」とか「はて?」となる事態に遭遇することも増える。今年のこれまで分に限れば、
- 停車ボタンを押したのに停留所を通過(2社)
- 停留所を示すものがない(2社)
- なかなか来ない(複数)
- 行先が異なるバスが同時発車(3社)
- 次に停まる停留所の案内にズレ(2社)
- 古い回数券の取り扱いに時間(1社)
- バス停の時刻表がわかりにくい(1社)
- 乗り継ぎ割引制度を乗務員が知らない(1社)
などなど。
以下、時系列でそれらを紹介する。ひとつご参考まで。
停留所通過
1/28~29、高山観光(参考→第610話)の際に利用したのが飛騨高山周遊バス。運行ルート別に3種類のバスがあり、主に利用したのが「まちなみバス」だった。1/28、このバスで移動中、降車ボタンを押したのに通過してしまい、しばらく進んだ先で(ボタンを押した)年配女性が声を上げ、ようやく停車という一件があった。
これと同様の件は南魚沼市の市民バス(後述)でもあって、降り損なったのはこちらも年配女性。コミュニティバスあるあるなのかも知れない。
停留所不明
高山の「まちなかバス」は、左回りと右回りがあって、進み方は異なるが同じ道を共有する区間がいくつかある。宮川を挟んで東側では、日下部民芸館口、高信本店前の二つの停留所が左回り、右回りとも通ることになっているが、(日下部民芸館口の場合)双方向分設置されている筈の停留所が片側(右回り)にしかなく、左回りに乗る際には当惑することに。対面にあたる場所で待っていればいいようで、先客がいたので事なきを得たが、初心者にとっては難関と思われる。
この設定は南魚沼市の市民バス(7/24に乗車)にもあって、長森集落センターという停留所がそうだった。降車時はそのセンターの前だったのでよかったが、次に乗る時(逆方向)の目印が見当たらなかったので運転手さんに尋ねると、「あの店の駐車場辺りで」という実にシンプルな返答。停留所はあってないようなものなので、フリー乗降区間と同じ扱いとも言えそうだ。
遅延
2/28は、「わくわく1dayパス」で熊本市内を周遊。市電、熊本電気鉄道の完乗をテーマに動き、バスも二度利用した。熊本電鉄藤崎線から市電に乗り継ぐ際、最も近い組み合わせは藤崎宮前~通町筋だが、700~800mあるのでバスが使えるならそれでとなる。せっかくなので降りたことのない駅でと考え、藤崎宮前の一つ手前の黒髪町で降り、最寄りのバス停「市立必由館高校前」から熊本電鉄バスに乗ることにした。
予め時刻表を調べ、18:33発に間に合うように停留所に着いたものの、平日、月末、夕方と三条件揃っていたため、道路は渋滞。バスが来たのは18:40過ぎだった。極度な遅延ではなかったが、そういうことなら熊電の列車をもう一本ずらすこともできたなぁと。今年上半期、時刻通りに来なかったバスで最も印象に残っているのを挙げるならこれという話である。
複数系統同時発車
一つの停留所を複数の系統が通るのはよくある話。悩ましいのは運行間隔がそれほど密でもないのに団子状態でバスが来る時だろう。密であればしっかり見極めてから乗るのが前提になるが、そうでない時はうっかり先に来た方に乗ってしまい、乗るべきは実は後続だったということも。5/13、田端駅前で待っていたバスが正にそのパターンだった。11:48発の東京駅丸の内北口行き(東43)が目当てだったが、その時刻に来たのが11:41発の駒込病院前行き(端44)だったものだから「!」状態。定刻の東43は追尾するようにそのぴったり後ろにいた。駒込病院前までは重複しているので、目的地がそこまでの範囲であればどちらでもいい訳だが、この日は東大に行きたかったので、端44ではNG。間違えることはなかったものの、今後は気を付けようと思った。
起点となる停留所に、最終的な行先が異なる2台のバスを並べ、同時発車するスタイルもあり、これはこれで見極めが必要。6/23に高野山駅前から乗った南海りんかんバスがその形態を一部でとっていて、この時は先頭が奥の院前行き、その後ろが大門南駐車場行きという設定だった。発車時刻はともに12:24。金剛峯寺に近い千手院橋までは同じルートだったので、その途中で下車するということならどちらでも可となる。という訳で、より乗客が少ない方(大門南駐車場行き)に乗車。先行車両とは多少のズレが出たが、乗車中は快適だった。
7/24、南越後観光バスの路線バスで魚沼基幹病院に向かい、そこから南魚沼市の市民バスへの乗り継ぎを試みた。基幹病院というだけあって、交通結節点のような役割も果たしていて、乗り場の案内も明確。これなら誤乗することはないだろうと思っていたら、複数の市民バスが入れ代わり立ち代わりやって来て大いに驚く。たまたまだろうけど、「三用コース」(3便、12:28発)、「浦佐・五箇コース」(7便、12:29発)、「大崎コース」(4便、12:30発)が続く時間だったことがあとで判明。乗りたかったのは12:30発=最後に来たバスだったので、間違えずには済んだ。だが、ちょっとでも前後していたらどうなっていたか… 1分刻みと言わずもう少し間隔を空けるか、各コース相互の乗り継ぎができるように着・発を揃えるとかすればいいのではと思う。なお、前段に書いた停留所通過、停留所不明の件は、この時に乗った「大崎コース」での話で、路線バスと市民バスの乗り継ぎに関するあれこれも当該バスが絡んでいる。乗客は少数だったがネタは満載、そんな一台だった。
停留所スライド
6/23に乗った南海りんかんバス(大門南駐車場行き)では、「次は・・・に止まります」が途中で一つずれ、高野警察前に着いた時点で一つ前の浪切不動前のままというアクシデントがあった。正にそこで降りたかったので、発車間際に降車ボタンを押してギリギリセーフ。我ながらよくぞ気付いたと思う。
一つ先になってしまったケースもある。これまた南魚沼市の市民バス「大崎コース」でのこと。年配女性が降り損なった件により「次は・・・」の設定がスキップしてしまったようで、目的地の「長森集落センター」の一つ前の「麓ふれあいセンター」に来たところで、当所が長森集落センターになってしまった。見慣れている筈の運転手さんもすぐには気付かず、こちらも危うく下車しそうに。予め地図で麓と長森の位置合いを把握していたので、一つずれていることを指摘し、事なきを得た。
年代物回数券
古い回数券が出てきたはいいが、いざそれを使おうとすると躊躇が生じるのは、そもそも有効なのか、運転手さんが認識できるのか、どう処理するのかといった疑問が付きまとうからと言っていい。横浜市交通局の「市営バス回数券」が正しくそれで、7/6に乗る機会があったので、乗車時にトライした。案の定すぐには認識してもらえなかったが、一応通用。前払いなのでICカードでタッチし通常運賃を払った後、回数券の金額(100円)を返金してもらう対応となった。神奈川中央交通のバス回数券も同じような扱いになるのかどうか… 早めに試した方が良さそうではある。
時刻表注釈記号
7/23、会津若松市の中心地にあるホテルから、会津若松駅方面に向かうバスを待つ際の話。停留所の数で言うと五つ目が「若松駅前バスターミナル」ということで、駅までそれなりの距離があったため、バスを使う段取りにしたものの、調べておいた便が時刻になっても現れず、「?」となる。どうやら★や◆の注釈を読み違えていたようで、「平日のみ運行」を示す記号をそうと認識していなかったことがわかった。それがNGでも8分後にノーマルなのが来ることは承知していたので大事にはならなかったが、会津若松から乗る列車は決まっていたので、少なからず冷や汗ものだった。
そのバスの終点はバスターミナルであって、会津若松駅前でないところがまたポイント。調べてあったバスは「まちなか周遊バス」で、こちらは駅前まで行く。それが前提にあったため、ターミナルから駅までの移動は想定外・・・ヒヤヒヤ感がアップしたのは言うまでもない。
観光客向けと思われる周遊バスに、平日オンリー分があるというところがそもそもの難点。だが、乗ろうとしていた分はもともと「通勤通学時間帯便」という扱いだったので、そういうものと捉えるしかなさそうだ。とにかく注釈記号には細心の注意を払おうと思う。
乗り継ぎ割引周知不足
7/24は、魚沼市、南魚沼市でプチ観光。宿の送迎サービスの延長で、両市の境界に近い地にある名刹を訪ね、その後はバスを乗り継いで「魚沼の里」に向かった。その時の行程は、
- 路線バス(系統621):虫野上口(12:07発)~魚沼基幹病院(12:16着)
- 市民バス(大崎コース):魚沼基幹病院(12:30発)~長森集落センター(12:52着、15:59発)~魚沼基幹病院(16:18着)
*魚沼の里は、長森集落センターから約800m。公共交通機関で行くにはこのバスしかない上、より近い場所にバス停が設けられていないこともあってアクセス難度は高め。 - 路線バス(系統4410):魚沼基幹病院(16:38発)~浦佐駅東口(16:45着)
だった。
時刻を調べている中で、「乗り継ぎ割引(市民バス⇔路線バス)」の情報(→参考)を得て、「市民バスと路線バスを乗り継いで目的地に行く際は、市民バスに乗る際に、『路線バスからの乗り継ぎ』または、『これから路線バスに乗り継ぐ』と申告することで、市民バスは無料になります。」との記載があったので、今回の行程がその適用対象であることは承知していた。が、その適用について車内で尋ねたところ、系統621の運転手さんは「市民バスどうしであれば可(路線バス→市民バスはない)」といった返事。大崎コースの運転手さんも同様にご存じなく、市民バスの乗継券を発行してもらうにとどまった。
乗り継ぎ割引についての記載がある画面などをその場で提示するなどすればまた違った可能性はある。だが、乗客側が知っていて現場が知らないというのは「?」かつ「!」。路線バス、市民バスともに運転手さんがご存じであれば、路線バス分のみの運賃で済んだところ、そうでなかったために市民バス分(往復で400円)を追加で支払う形になった。当該割引は市民向けのサービスということであれば、旅行者が物申す件ではないかも知れない。だが、旅行などでも市民バスをぜひというのであれば、要対応案件だろう。ということで、南魚沼市の担当部署にまず電話を入れ、翌日には専用フォームで経緯等を伝えた。
路線バスも市民バスも運行会社は同じ南越後観光バスということで、市役所から同社の小出営業所に話が行く。具体的な返信は営業所からとなり、最終的には市民バス代(×人数分)を含め、形を変えての返金をいただくに至った。現場での周知もしっかりしていただいたようなので、今後は大丈夫だろう。
本件は7月の話。「車内での乗務員氏名の掲示」は普通にされていた。市民バス乗車中、その掲示を控えていたため、問い合わせの際に話がしやすかったし、先方もさほど労せず確認がとれたものと思われる。8月からの掲示義務の廃止(後段参照)を受け、南越後観光バスがどう対応しているかは不明だが、こうした一件を鑑みると氏名の掲示はあった方が望ましいのでは?と思う。
120年もの年数が経っても、まだまだ改善の余地がありそうなのがバスらしいと言うか、味わい深いと言うか... 最近の動向としては、
- 道路運送法に係る法律が一部改正され、車内での乗務員氏名の掲示義務が廃止に(8/1~)(→参考)
- 「東武バス創立20周年記念 土日1DAY PASS」・・・デジタルチケット限定のバス一日乗車券が登場(→参考)
- 相次ぐ運賃改定・・・関東エリアだけでも十数社が値上げ予定(または実施済み)
といった件が挙げられる。何かと話題が豊富なのもバスならではと思う。
当の「バスの日」にちなんだ催しや記念企画も9月を中心に目白押し(→参考PDF)。首都圏では限られているが、足を運ぶとしたら、神奈川県バス協会主催のバスの日イベント「バス利用感謝デー2023」(11/11、横浜赤レンガ倉庫の新港地区7街区)あたりか。
実体験がいろいろあるので、アンケートコーナーなどがあれば書くことに事欠かないだろう。
これからも何かとお世話になるであろうバス。何はともあれ、祝!「バス120年」である。
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