2022年は「鉄道150年」にちなみ、10月14日を中心に10月はいろいろあって、それ相応に過ごし楽しむことができた。社会的情勢を踏まえ、抑え気味だったところがまた良かったのだが、2023年はその抑制が緩やかになり、「4年ぶりの開催」といったフレーズとともに以前の定例イベントが再開、復活。9月はそれらリリースの追いつ追われつの日々が続いた。
JR東日本の「JRE POINT」がそれなりに貯まっていて、どうせ使うなら「どこかにビューーン!」だろうと考えていた折、東北・信越エリア各地でのイベントリリースが出揃ってきた。「鉄道の日」当日、10/14に行われるイベントにあわせて「ビューーン!」の旅に出ることを決め、ランダムに出てくる四つの新幹線駅(当サービスの仕掛けによる)がイベント開催地当駅(または近隣駅)で揃うまでトライ。青森、八戸、いわて沼宮内、盛岡、秋田、山形、仙台、福島、長野、飯山の10駅を候補とし、四つの駅(行き先候補駅)がこれらに合致したところで申し込む。何十回とチャレンジし、いわて沼宮内駅、山形駅、盛岡駅、長野駅と条件に合う組合せが登場。これで申込を実行した。申し込んだのが9/23夜。決定の通知がEメールで届いたのは9/24午後だった。
ピックアップされたのは山形。かくして10/14に参加すべきイベントは「2023 YAMAGATA 鉄道まつり」と相成った。
今回の「山形にビューーン!」は一人旅。単独だと自在に動ける分、思いがけない要素も増えてくる。自分としては珍道中の類。ひとつご笑覧ください。
10/14(土)
「ビューーン!」で申し込むと、隣席に誰某が来る確率が減るようで、往路は大宮~宇都宮の一部、復路は宇都宮~大宮で乗客があった他は空席だった。往路では大宮を出てしばらくしてから小山を通過する前くらいの間、ビール片手のギャル系ママさんが着席。家族三人の旅だったようだが、無理やり三人分を指定でとったためか席はバラバラ・・・宇都宮で下車する客が多かったこともあって、席を指定し直したか何かで10分ほどでいなくなってしまった。全席指定の「つばさ」故の難しさはあるが、大宮~宇都宮は他の列車(または併結の「やまびこ」)で自由席、宇都宮から三人まとめて指定席といったとり方をすればいいものをと思うが(窓口を含め)考えが及ばなかったのだろう。ともあれ、9:21~11:37のうち2時間以上は広々と過ごすことができ、快適だった。
山形に着いてまずめざしたのは「つばさ乗車体験」(山形駅~山形新幹線車両センター間往復)。ただし「同日開催の『やまがたえき まちなかマルシェ』でお買い物いただいたお客さまが体験いただけます。」という条件では当然ながら厳しく、12:33発、15:17発の各回150人分はとうに配布終了・・・マルシェ開催が11時半とかであれば可能性はあったと思うが、10時スタートでは致し方ない。行先もさることながら出発時間もピンポイントでは選べないのが「ビューーン!」のルール。という訳でマルシェの付帯イベント「ガラポン」に専念することに。こちらはマルシェ出店の4店舗で何らかの買い物 → スタンプを集めて1回ガラガラ → JREのポイントカード提示、「えきねっと」登録会員の旨の申告等でさらにチャンスというもので、筆者は計3回ガラポンさせてもらった。結果は参加賞×2、6等×1。「〇等」が出た場合は参加賞(クリアファイル)はなしとのことで、図書館オリジナルのトートバッグをいただいた。普段使いのエコバッグがそろそろ草臥れてきたので、これを機にということなのだろう。ありがたく使わせてもらおうと思う。
「2023 YAMAGATA 鉄道まつり」の現地での掲示をよくよく見ると、駅構内での「レールスター乗車体験」「ビッグロモ車両展示」は西口テントで受付とあった。鉄道の日に鉄道的体験がゼロというのも何なのでとにかく行ってみることに。午後の部の受付は12:50~と出ていて、特に整理券などはない模様。10分前から何となく待機し、13:30~の枠に参加できることになった。たまたまな感じだが、タイミングとしては上々。しっかり体験、見物等させてもらった。
時間的には短めながら、これで体験型の鉄道イベントは終了。午後はたっぷり時間があったので、散歩がてら市の中心部に向かう。山形駅とその周辺は過去に何度か来ていても、役所関係などが集まる中心エリアは今回が初。鉄道まつりとのタイアップ感はまるでなかったものの、同じ日に「街なか賑わいフェスティバル2023」が催されていて、それに釣られて足を運んだというのが正直な話である。
駅の東口から約0.8kmで山形まるごと館「紅の蔵」に着く。連動イベントはあったが長居するほどでなく、軽く食事でもと考えていた店は折よく?「貸切」に切り替わるタイミング。歩行者天国になっているフェスティバルのメイン会場へと急いだ。
歩行者天国は約0.6kmの長さ。本町通りと七日町大通りの一部を使っての展開で、ご当地グルメ、ラーメンキッチンカーなどの飲食系に始まり、あとは雑貨やら「モルック」やらが続く。少なからず飲んだり食べたりができた筈だが、結果的には見送り。駅の「まちなかマルシェ」で買って食べた玉こんにゃく、「金華豚」チャーシューのおにぎりで乗り切る形となった。
メイン会場滞在は45分ほどで、長くも短くもない感じ。多少時間が浮いたので、行けたら行こう程度に考えていた山形県郷土館「文翔館」に向かった。
山形駅から当館までは約2km。隣の北山形駅の方が近いくらいの立地だが、フェスティバルのおかげで訪ねることができたと言っていいだろう。入館無料、撮影自由というのも実にありがたく、館内の充実ぶりも特筆もの。建築としても見応え見映え十分で、30分では到底足りなかった。
文翔館まで行っても行かずとも、山形駅から離れてしまうことはわかっていたので、この日の宿泊地、かみのやま温泉に行く手段としてバスを考えていた。最寄りの「山形市役所前」の発車時刻は15:52。それに間に合うように文翔館を出て、予定通り「S85」系統に乗車した。実際は数分遅れだったのでもう少し館内でゆっくりしていても良かった訳だが、16時閉館につき大差はなしか。どっちみち後ろ髪を引かれる思いで当地を後にした。
バスは定刻であれば宿に近い「めんごりあ角」には40分余りで着く。ところが渋滞や右折待ちなどもあって、実際は20分以上の遅れ。一つ手前の「上山城口」で降りたが、17時近くになっていた。宿の周辺にめぼしい飲食店がないことは承知していたので、バス通り(羽州街道)沿いの店を物色するも、土曜の17時となれば店が閉まり始める頃合い。「めんごりあ」が商業施設であれば何とかなっただろうが、子育て支援などの公共系複合施設だったのでお手上げとなる。某コンビニに(クーポンともども)救われる恰好となり、宿の電子レンジにお世話になりつつの部屋食ということに。
ガイドブックなどで情報を得ていても、ご当地メニューというのは案外縁がないのが実情。経験上、重々弁えている話ではある。
宿の温泉は(山形駅構内イベントでの雑談中に聞いていた通り)熱かった。かみのやま温泉は、1998年元日に「お年玉フリーきっぷ」(参考→第9話)で一度来ていて、当時は二日市共同浴場でひと浴び。その熱さは体験済みだった訳だが、改めて実感することとなった。熱いながらも泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉」と単純でなく、その分適応症も広め。大いに癒され、この上ない保養になった。
10/15(日)
前日の晴天から一転して、この日は予報通りの雨。山形に戻って「ビューーン!」で帰るばかりだったが、電車でなくバスでというのは決めていたので、その時間までお城の周囲などを散策することに。宿は坂の途中にあって、坂をさらに上がれば上山城の高さに近づく。武家屋敷通りは城への道中で見つけた。その往復の折り返し地点、旧曽我部家では丁度「お茶のおもてなし」が始まる時分。お招きをいただくもバスの関係もあって茶菓子を頂戴してすぐに失敬・・・タイミングは良かったもののその序幕で退出というパターン、これがその一である。
上山城を裏手から眺めた後、坂を下りていくとこれが意外と勾配があって驚く。坂の中腹でもなお高度があるので、雨天でも見晴らしは良い。その東の方角では低い雲が漂い、雲海のようになっているものだからさらに一驚。気温が低かったせいもありそうだが、偶然にしては上出来だと思った。
バス停は前日同様「上山城口」で、乗ったのは10:32発の「C7」系統。今度は時刻通りだった。
このまま乗って行けば文翔館に直行できるところ、山形にせっかく来たのに駅の探訪が一つもないのもどうかと思い、途中で下車。降りたのは「蔵王駅口」で、ここから奥羽本線(山形線)の蔵王駅に向かうことにした。
蔵王→山形のワンポイント乗車の後は、左沢線に乗り換えて未乗降駅をいくつかというプランも。時刻は調べておいたが、雨の中をローカル駅で過ごすのは厳しい?と判断し、山形で一旦下車。改札の外に出ると、ここでまた思いがけないイベントが待っていた。
前日は「まちなかマルシェ」で賑わっていた駅の東西自由通路。この日はその一部で「JR山形駅の発車メロディ変更セレモニー」が行われ、正に開会したところだった(11時半~)。1992年に導入したオルゴール調の「花笠音頭」をこのほどリニューアルし、地元の山形交響楽団の演奏を収録したバージョンに変更するというのが趣旨。山形市の佐藤市長、JR東日本の三林執行役員・東北本部長の順に挨拶を聞く。主催団体三人の挨拶に続き、ご来賓の…となったところで、その場を後に。タイミングは良かったもののその序幕で退出というパターン、これがその二である。
当セレモニーでは、楽団による生演奏(三重奏)が披露される一幕があったことを地元テレビ局などの報道で知るも、それはそれ。一乗車100円で市役所方面に行ける「ベニちゃんバス」の存在を知ったことで、文翔館再訪!が優先テーマになったまでの話である。然るべき施設で荷物を預けたら乗り場へ。おかげで文翔館では12時半から1時間ほどを過ごせた。前日は予習、この日は本番といった具合。隣接する議会棟の方も廻れた。後ろ髪を引かれる思いを翌日に解消できたのは大きい。
帰りの「つばさ」は山形14:52発の88号。15時前に発たないといけないというのも「ビューーン!」の定めな訳で、如何ともし難い。車内で遅い昼食をとることにし、その買い出しを済ませ、荷物を引き取って駅に戻ると、14:44発の新庄行き「つばさ」(137号)が来る5分前だった。この日から発車メロディーが変わったことをセレモニーで知った以上は、実際にその音を体感しない手はない。急ぎ新幹線ホームに向かい、入線を待つ。ホームや待合室には、ガンマイクなどを手にしたいわゆる「音鉄」各位がスピーカー直下で準備中。さすが、耳が早いというか、耳ざといというか… 列車は時刻通りの着・発で、発車時にその新しいメロディーは確かに鳴った。筆者はドアが閉まるのに合わせて動画モードで撮影(+録音)。一聴で花笠音頭とわかる感じではなく、オーケストラ調の祭囃子という風に聴こえた。もう一度と思っても、次の列車が乗車対象となれば難しいものがある。席に着いてしまうと発車メロディーはまず耳に入らないし、メロディーに送られて発車という感覚もない。ドア付近で観賞してから席に向かうのが通、ということなのだろう。
かくして早い時間帯に帰途につき、日没が近づくまでの間、長々と車窓を楽しむことができた。雲が晴れ、明るい感じになったのが福島に着く10分前くらいで、その先は主に西側の空、雲、日射の変化を存分に堪能。暗くなってきたと感じたのは間もなく大宮といった辺りで、終始景色を眺めながらの約2時間20分だった。自分で発車時刻を選んでいたらおそらくこうはならない。「ビューーン!」の指定あっての車窓満喫旅。「View~n!」と変換しても良さそうだ。
「どこかにビューーン!」は、JRE POINTが6,000ポイントあれば利用可能。そこまで貯めるにはまた年月を要しそうだが、サービスが続いている間に到達できればぜひまたと思う。
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