荒川流域で暮らすようになって早いもので28年半ほど。東京モノローグは今年9月でまる27年になったので、流域でのあれこれというのは概ねその中に綴られている恰好になる。それらを振り返ると筆者にとっての荒川とは何ぞやというのが少なからずわかる訳だが、川の長い歴史からすればごく限られた話につき、多くを語るには及ばない。昔々の荒川の流路とか、その変遷とかについてはとてもとても。現在の隅田川=かつての荒川だった時代の後、即ち岩淵辺りから新たに放水路がつくられ、葛西の辺で東京湾に注ぐようになってからが今に至る姿であり、それならばある程度はわかるといった感じである。
水がなかったところに水が流れ始める、その記念すべき通水式が行われたのが1924年(大正13年)10月12日とのことで、2024年は「荒川放水路通水100周年」にあたる。100年のうちの28.5年となればそれなりだろうか。以下、カテゴリ別で荒川に関連する話題をまとめてみようと思う。
クリーンアップ・フィールドワーク関係
荒川を初めて目にしたのは、川越市在住だった頃に遡る。川越線で大宮に向かった時かその逆かだが、南古谷~指扇で見ていることは確か。1975年に一度は通っているので、実に50年近く前になる。埼玉だと放水路ではなく本流になるが、通水後の姿ということで言えば51年が経った荒川を見ていたことになるから、2024年時点に比べればまだ年数は浅め。ともかく筆者としては古い記憶にあたる。
荒川そのものにアプローチした年となると、それからしばらくしてからの話で、明確なものを挙げるとするとやはりクリーンアップ関係ということになる。「荒川クリーンエイド」に参加したのは、1994.10.23が最初で、この時の会場は岩淵。放水路通水70周年にちなんだ取り組みでもあった。以後、自分でも会場を担当したり、市民団体としての荒川クリーンエイドに、スタッフ、運営委員、理事などで関わったり・・・程度に深い浅いはあるが、何だかんだで概ね11年(1996年度~2006年度)。荒川とともに過ごした日々というほどではないかもだが、それに近いものはあると思っている。
単に拾って処分してというのではなく、いわゆる調査型クリーンアップが活動のメイン。加えて、水質、魚や鳥など生物の調査、川に親しむ・ふれる環境学習の類(ネイチャーゲームを含む)もあって取り組みは多様だった。ボートに乗ったり、釣りや投網で獲った魚をその場で調理・試食したり、荒川の上流・源流部でのフィールドワークに参加したりというのもあり、30代は何かと荒川にご縁があったなぁと思う。
収集したゴミを品目別に調べ、その抑制策などを関係企業・団体と考え実行するのが趣旨のクリーンエイドだが、30年が経過してなお取り組みが続いているということは、有効な手立てが確立できていない裏返しでもある。漂流・漂着ゴミが目に見えて減るなどすればクリーンアップ活動も程々で済む。そうした考えを念頭に、自分なりの対策や試案を交えて綴ったのが拙筆長編「漂着モノログ」(全80話)で、こちらも早いもので最終章の公開を終えてから16年が経とうとしている。設定に多少の古さは出てきていると思うが、根本的な考え方は今でも通用するであろうとの自負はある。
クリーンアップやフィールドワークで得た知見の集大成といった側面もある。執筆している間はよく現場に出かけ、実際に調査し、記録としての撮影も多々。荒川と接する機会が最も多かったのはこの2007年、2008年だったと言っていいかも知れない。
河川行政、荒川知水資料館
クリーンエイドに勤しんでいた時期を中心に、地元でとかくお世話になったのが荒川知水資料館と荒川下流河川事務所。どちらも国土交通省に関係するため、同省の河川行政について知るところ思うところも当時は多くあった。
近年は縁遠くなっていたが、今回の通水100周年をきっかけに6/30に資料館を訪ね、10/12の記念日当日も館内をひととおり見物。改めてよくできた施設だと思った(しかも入館無料)。アニバーサリーイヤーを機に来館者がさらに増え、荒川や流域に対する想いを深める底上げにつながることを期待したいものだ。
さて、10/12の記念イベント「荒川放水路通水100周年アニバーサリーフェス」は、放水路の起点にあたる岩淵水門周辺で行われ、四つの会場で展開。地元で開催されるとあれば行かない手はないのだが、所用が重なった上に、東京→新大阪で「ドクターイエロー」の団体臨時列車が走るという鉄道系一大トピックもあったりで、フェス向けの時間は限られることに・・・用件の合間を縫って会場を見に行く形になった。
会場は、荒川知水資料館(アモア)エリア、体験エリア、中之島エリア、河川敷エリアから成り、きちんと時間がとれたのはアモア程度。体験メニューとしては、手漕ぎ式の「Eボート」体験、水門の操作室見学、災害対策支援船「あらかわ号」の乗船(これは事前予約制)などがあったが、どれも合わず… 年に一度でいいので今後も実施してほしいものだと思った。
大荒川
放水路は言うなれば人工河川だが、その放水路に至るまでの荒川本流は一応自然の川。身近にある自然地としてこれほど大きなものはなく、その川幅の広さから時に湖のようにも映る。
特に上流・中流域で大雨が降れば、支流から集まった分も含め水量が増し、河川敷を覆うレベルに達することも。そうなるとただの荒川では済まず「大荒川」といった様相になる。自然の脅威を思い知るとともに、並外れた漂流・漂着ゴミの量にまた唖然となるのが増水時の荒川。そうした一面もあることを重々心得た上で、景観を楽しんだり、行楽やレジャーで足を運んだりというのがいいだろう。
(参考)旧岩淵水門関連
荒川を大きく扱ったのは5年前の第532話がラスト。赤水門(旧岩淵水門)が国の重要文化財に指定されるなど話題がない訳ではなかったが、空く時は空いてしまうものである。自転車で河川敷を走り橋を渡りというのは高頻度ではないものの、日常の一端ではある。撮るものは撮っているので、令和になってからの分でめぼしいものをいくつかご紹介しようと思う。ひとつご参考まで。
川沿いを歩く、走るというのはできても、泳ぐというのはさすがにNG。アクティビティとして体験できそうなものはそれなりにやったと思っているが、グランドの利用(野球、サッカーなど)とかキャンプとかの経験はない。記念企画でも何でもとりあえず面白そうなイベントやワークショップがあればぜひと思う今日この頃である。
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