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第644話 名古屋おでかけきっぷと伊賀&北勢の旅(2024.7.1)

 インターネットを通じて旅行商品を申し込んだり、宿泊先を手配したり、特急列車を予約したりとあれこれやっていると、何かしらの特典やポイントが付くもので、それらを上手く使えばまたリーズナブルな旅ができる仕掛けになっているものだから、また何処かへということになる。特典やポイントに関しては期間限定というのも多いため、その期限が同じ頃合いだとこの際まとめてというケースも出てくる訳で、6/23~24の旅は正にそれ。何かとお世話になっていたJR東海ツアーズの「マイページサービス」が4/30で終了することを受けて、その代替とも言える「EX旅パック」へのシフトの案内が届いたことがまずはきっかけで、案内中「EXサービス会員新規入会 おトクなEX旅パックご利用キャンペーン」なるものが実施されるというので、とりあえずEXサービスの一つ「スマートEX」に登録した。EXサービスは新規登録だったので、筆者はキャンペーン対象。件のマイページ会員であることも条件で、5/31までにキャンペーン所定の手続きをすれば、「EXダイナミックパック」か「EXこだわりツアー」(30,000円以上)で使える3,000円分のクーポンが発行されるというのだからなかなかである。

 そのクーポンを使ってというのも考えたが、6月末までというポイント関係が二つあって、それらも組み込んだ行程を優先。EXの方は東海道新幹線の予約の方で試しに使ってみることにして、ツアー系は別途としつつ、じゃらん限定ポイントと近鉄特急のインターネット予約・発売サービスで貯めたポイントを活用するプランを立てた。大まかに言うと、1日目:名古屋からの東海道本線、高山本線、中央本線、関西本線など、2日目:三重県内で乗ったことのない路線めぐり+近鉄特急といった具合。週間予報の通り1日目(6/23)は雨基調だったが、2日目(6/24)は予想に反して晴れベース・・・雨でもさほど支障はなく、晴れればより動きやすくといった感じで、いろいろと満喫できた。

 ポイントに引っ張られた恰好の1泊2日の旅。何だかんだで2日間での撮影枚数は2,100枚ほどになった。その中からトピック的な分をピックアップ。画像メインで振り返ってみようと思う。


6/23(日)

 東京駅に早めに着いて、八重洲地下街などをブラブラしてから新幹線改札へ。EXのおかげで、東海道新幹線もSuicaタッチで利用できるようになり、楽々だった。ホームに出ると、修学旅行専用の「団体301号」が隣の18番線に停車中。その乗客の一団や行列の間を抜けつつ、7:48発の「のぞみ」13号に乗る。修学旅行用はN700Sなのに対し、こちらは今となっては古参のN700A。博多行きの長距離列車なのだから新鋭車両の方がいいと思うのだが、至ってランダムなようだ。

EXで東海道新幹線を予約すると、Suicaタッチで改札を通れる上、「EXご利用票(座席のご案内)」が印字されて出てくる。JR東日本の各新幹線ではこうしたものは出てこないので新鮮だった。
「修学旅行」表示のN700S。増発時の「のぞみ」301号(新大阪行き)を修学旅行用に充てたもので、東京7:51発だった。

 名古屋に着いたら、当日周遊用のきっぷを発券。「名古屋おでかけきっぷ」である。名古屋を起点(概ね990円区間の範囲)とする1日乗車券だが、遠方からの旅行者向けに設定したものらしく、JR西日本の予約サイト「e5489」を通じて押さえる必要があり、EXサービスにログイン→「EX旅先予約」→「e5489」という手順を踏むのが特徴的。e5489の方は前々から登録済みだったので、EXと連携させるだけで購入(予約)できた。ただし、実際の発券は「5489」マークが付いた券売機でというところがまた悩ましく、名古屋駅ではそれをまず探し出すところからスタート。比較的空いている1台を見つけ、決済で使ったクレジットカードを入れ、といったプロセスを経て無事発券・・・この日は「名古屋おでかけきっぷ」のエリア内で乗り降りに励む一日になる。

JR東日本管内ではちょくちょく利用している券売機を通じての予約済みきっぷの発券。JR東海では今回が初めてだったが、手順は概ね同じだった。
「名古屋おでかけきっぷ」、1,500円。東海道本線の三河三谷~関ヶ原、武豊線と太多線の全線などエリアは広め。今回は東端の釜戸、西端の亀山を結ぶ感じで移動。両駅間を通しで乗ると1,980円かかる。

 移動経路は、名古屋~大垣~荒尾~大垣(乗換)~岐阜~各務ヶ原~蘇原~多治見(乗換)~釜戸~土岐市~瑞浪~神領~名古屋(乗換)~春田~八田~蟹江~永和~桑名~南四日市~河原田~亀山。(乗換)と入っていない分はいずれも改札の外を出た形で、一定の時間を過ごした駅ということになる。多治見に向かう際は、美濃太田と多治見を結ぶ「太多線」を経由。同線は~多治見が未乗区間として残っていたが、今回クリアできた。これで岐阜県内のJR線はめでたく完乗。東海・近畿エリアでは、名松線(一志以西)と紀勢本線(多気以南)を残すのみとなった。

高山本線の蘇原から多治見行き(美濃太田から太多線)に乗車。列車は快速「みえ」向けに製造されたキハ75形(クロスシート車)・・・いい意味でサプライズだった。
釜戸から中央本線の区間快速に乗る(14:12発)。駅周辺を散策している時は小雨だったが、ホームに戻ると大雨に。列車が遅れることはなかった。

 フリーエリアの東端にあたる釜戸まで行ったら、次は西端の亀山へという流れで臨み、その途中でまだ下車したことのない駅をできるだけ多く組み入れてみた。成果としては上々で、中央本線は名古屋~釜戸、関西本線は名古屋~桑名で全駅達成となったのは大きい。

桑名から快速に乗って南四日市へ。桑名を出るとすぐ、先行する近鉄特急「ひのとり」と並走する形になり、員弁川を越えた辺りでは快速が特急を抜き去るくらいの状況に。こちらの「ひのとり」、近鉄名古屋17:25発なので、桑名までは16分ほど。JRの快速は名古屋17:13発→桑名17:40発だった。

 三重県内に入り、南四日市に着いた頃には空が幾分明るくなり、次に降りた河原田では思いがけず広々とした景色を楽しむことができた。ゴールの亀山には19時前に到着。夏至を過ぎたばかりなので、まだ十分に明るかった。

南四日市から乗った列車は、伊勢鉄道経由の「津」行き。南四日市~河原田はJR区間なので、伊勢鉄道の車両でも「名古屋おでかけきっぷ」で乗車可。ただし、河原田到着の際は伊勢鉄道のホームになるので、事情を知らないと「この駅は?」ということに。高い位置にあるので、見晴らし良好。
伊勢鉄道の河原田駅ホーム(1面2線)。当駅で降りずにそのまま乗ってしまうと、伊勢鉄道の運賃がかかることになるので要注意。
JR(関西本線)の河原田駅。こちらは地上にあり、2面2線。亀山方面のホーム、伊勢鉄道のホームには跨線橋でアクセス。18:27発の亀山行きが来たが、18:38発もあったのでそちらで。

6/24(月)

 前日とは打って変わって、この日は雲は多いながらも晴れモード。亀山から伊賀上野に向かう途中、黒い雲が広がるなど怪しい雰囲気だったが、辛うじて雨にはならず、伊賀上野から先の行程では傘の出番は一切なかった。

朝、ローカル局のニュースを見ていたら、6/23の大雨の様子が出てきて吃驚! 10時台は大垣を通っていたが、これほどの雨だったとは思いもよらず…
亀山駅前にある亀山市立図書館など。雲量は多かったが、晴れ間も出ていた。

 三重県にはある程度の路線長を持つ鉄道会社がJR以外にいくつかある。決して難度が高い訳ではなかったのだが、これまで全くご縁がなかった一つが伊賀鉄道であり、三岐鉄道の三岐線についても全区間が未乗だった。三岐鉄道のもう一つの路線である北勢線については、西桑名馬道の一駅分のみ乗車。そんな訳で伊賀鉄道と三岐鉄道については今回是非ということにし、両社とも紙券タイプの一日乗車券があるので、その前提で乗り降りのプランを立てた。

 全国の駅や電停をちょこちょこと訪ねてきた結果、6/23の河原田を以って通算3996駅というところまで来た。この調子で行くと、JRの伊賀上野が3997、伊賀鉄道の伊賀上野が3998となる。その辺りを踏まえ、節目の4000駅をどこにするか考えながら動いていたのだが、結果的に3999番目は九十九に引っかけて四十九駅、4000番目はそれなりの規模の駅がいいだろうということで上野市(忍者市)駅にした。伊賀上野を1とした時に4に来るのが同駅・・・四が付く駅という意味では四十九の方がよかったかも知れないが、ともかく記念すべき駅となった。

伊賀上野駅。駅舎は和の趣があり、大きさもそれなり。構内は2面4線で、1番線が伊賀鉄道、2~4番線がJR(関西本線)。
伊賀鉄道は今回が初。記念すべき一本目は「ふくにん列車『伊賀の四季』号」。
その「伊賀の四季」号では、メナード青山リゾートとのコラボ企画として、1両が「アロマ&フラワートレイン」仕様に(7/8まで)。車内でハーブの香りを楽しめる列車は全国唯一かも知れない。
昨今においては貴重な「補充乗車券」。このままでも通用するとは聞いていたが、正規のフリー乗車券に引き換えることに。
伊賀上野から乗り、最初に降りたのが四十九駅。2018.3.17の開業で、三重県内の鉄道駅で今のところ最も新しいのが当駅。乗降記録上3999番目となった。
上野市駅には西側に上野市車庫があり、名物車両も間近に見ることができる。たまたまだと思うが、「忍者列車」の青とピンクが並ぶタイミングだった。
正式な駅名は「上野市」だが、伊賀市が2017年2月に「忍者市宣言」を出したことを受け、その2年後、同市の愛称が駅名にも使われるようになってこの表示に。そもそも上野市は平成の大合併でその名称がなくなっていることから、駅名で存続しているのも妙な話。いっそ正式名を「忍者市」にしてもいい気がする。

 記念という点で言えば、車内で買った補充乗車券(1日フリー乗車券の引換用)を上野市駅の窓口で引き換え、そのスタンプ欄に当駅の分をきっちり押せたことも大きい。補充乗車券も(+無効印で)記念にいただければなおよかったが、規則上それは不可。スタンプはあと2駅分押せるようになっていたので、その後の茅町、伊賀神戸で押し、コンプリートできた。俄かスタンプラリーである。

伊賀鉄道「1日フリー乗車券」。紙券ならではの良さを感じる。
上野市から乗った列車はグリーンの「忍者列車」だった。こちらも1両が「アロマ&フラワートレイン」(てるてる坊主ver.)。
伊賀上野~四十九~上野市と乗って、次は茅町で下車。お目当てのレンタサイクルは一応改札内にあって、すぐに拝借できた。(保証金1,000円を払い、身分証明書を提示し、用紙に必要事項を記入しといった手続き)

 茅町ではレンタサイクルの無料サービスがあり、予めその分の時間もキープ。天気次第ではあったが、晴れたり曇ったりだったので何ら問題なく、寺町や登録有形文化財の建物などを見て廻ることができた。実にありがたいサービスだと思う。

白壁が美しい寺町の通り。270mほどの区間に七つの寺院が集まる。
上野城が見える場所を探しながら走っていたら、忍者市駅の駅前に辿り着く。天守があるのですぐに城とわかるが、昭和初期に造られた「模擬天守」なのだとか。駅舎の方は大正期からなので歴史は古く、国の登録有形文化財に指定されている。

 伊賀神戸からは、近鉄特急での移動。運賃はICカード払いだが、特急料金とアップグレード分はポイントを使っているので、おトク感はなかなかのもの。「デラックスシート」はこういうことでもないと利用しないだろうから、いい体験となった。

 近鉄四日市で特急を降り、急行に乗り換えて近鉄富田へ。当駅で三岐鉄道の「1日乗り放題パス」を買い、初めての三岐線と相成った。終点の西藤原に向かうにあたり、行って戻ってパターンを一回挟む。西藤原到着後は東藤原に戻り、いなべ市の福祉バス(無料)で今度は北勢線の駅へ。三岐線と北勢線との橋渡しに一役買っているバスだが、平日限定なので旅程に大きく影響する。旅の2日目を月曜にしたのはこの福祉バスあっての話と言っていい。ありがたく乗車させてもらった。

レンタサイクルを返却し、茅町から伊賀神戸までの乗車を以って伊賀鉄道の旅は終了。ラスト一本もグリーンの「忍者列車」・・・よほどご縁があるようで。
伊賀神戸→伊勢中川の移動は特急「伊勢志摩ライナー」。20分余りと短時間だったが、デラックスシートを満喫できた。伊勢中川では同一ホーム乗換で、近鉄名古屋行きの特急に接続(この後、右側の番線に到着)。
近鉄名古屋線と三岐鉄道三岐線の共同駅、近鉄富田。三岐線の窓口があるのはこちらの西口。クジラをモチーフにした駅舎は見もの。
三岐鉄道の「1日乗り放題パス」。三岐線・北勢線共通で大人1,200円というのはリーズナブルだと思う。
近鉄富田駅に掲示されている「三岐鉄道沿線案内」看板。三岐線はJRの富田にも通じているが、旅客営業区間は近鉄富田~西藤原(26.6km)。貨物輸送があったり、鉄道展示施設があったり、鉄分高めなのが三岐線の特長と言える。
三岐線も初めての乗車。最初に降りたのは貨物鉄道博物館が近くにある丹生川(にゅうがわ)。博物館は基本的に月に一度のみの開館なので、来館するならきちんと計画を立てる必要がある。今回はとりあえず下見。石灰石の鉱山として知られる藤原岳(1,140m)もよく見える。
丹生川から二つ戻って大安へ。縁起がいい駅名なので、駅舎に「大安」とあれば必見・必撮だったのだが、それが見当たらず… 駅名標のみという結果に。
終点の西藤原駅で待っていたのはこのSL形駅舎。右隣は「C11 1」の銘板入りだが、どこまで実物に寄せる気だったのかは不明。
鉄道公園の観がある西藤原駅前公園。機関車などはホームからも見物できるが、全体を撮るなら公園側がベター。
留置線がいくつもあり、構内広めの東藤原駅。電気機関車も目を惹くが、注目すべきはやはり211系だろう。JRから譲渡されて三岐線に来たとのことだが、そんな話は知らぬ存ぜぬだったのでただビックリ。6/24当日も追加の譲渡分が富田に向けて走ったそうで、鉄道ファンの間では話題になっていた(ことをあとで知った)。
東藤原駅北側の踏切から見た電気機関車と211系。機関車はED454+ED456(重連)。
踏切近くで停まっていたED5082+ED5081が東藤原駅に向けて動き出すところを動画で撮影。駅で折り返した後、太平洋セメントの引込線に入り、さらにセメントのタンク貨車(タキ1900)を牽引して戻ってきた。この一連の行ったり来たり、実に10数分間での早業でこれまた一驚。バスを待っている間、有意義な時間を過ごせた。

 北勢線は、線路幅(軌間)が762mmと極めて狭い「ナローゲージ」の路線(→参考。日本の普通鉄道では北勢線を含めて三例のみにつき、そのナローな感じを見に来るだけでもちょっとしたものだが、全区間乗るとなればアトラクション感覚である。車両もコンパクトなため、それが山間部や森林を縫って走ればテーマパークの乗り物の如し。扇風機と送風のみの「非冷房車」なる車両を連結した編成も走っていて、空調が当たり前ではなかった時代の鉄道体験ができるのもまたポイントだろう。折よく同じ方向に進む中で次の列車が間隔を空けずに来る時間帯だったため、東員、穴太、星川は順番通り。その後は蓮花寺まで行き、在良に戻り、西桑名へという行きつ戻りつパターンで臨んだ。桑名からはデラックスシートつきの「アーバンライナー」で近鉄名古屋へ。短時間だったが、快適なひとときを過ごせた。

いなべ市福祉バス(藤原ルート)で、東藤原駅から阿下喜駅へ。軌間はナローだが、駅舎はなかなか。名駅舎と言っていいと思う。
ナローゲージ対応につき、車両幅も狭め。見た目はあまり古さを感じないが、270系の製造年は1977年~というからベテランの域。モーター音を聞けばわかる人にはわかると思われる。
山林の中を疾走(阿下喜~麻生田)。時速40kmも出ていないが、なぜかスピード感はあった。
有人駅の一つ、星川駅。これほどわかりやすいデザイン(星と川)が付いた駅舎も珍しい?
レトロ感覚の鉄道体験を楽しむなら「非冷房車」がオススメ。ただし、熱中症対策はマスト。
北勢線の駅は一部を除き自動改札機が備わっているので、紙券利用者が無人駅で入場・出場する際は、インターホンでのやりとりを経て改札機を操作してもらう必要がある。今回は穴太、蓮花寺、在良の3駅が該当。都合6回、インターホンのお世話になった。
在良駅で阿下喜行きを見送る。架線柱の配置を含め、北勢線=縦長というのが改めてわかる一枚が撮れた。
桑名駅東口。当駅を初めて訪ねたのは45年前の夏。当時もあったと思われる駅前のビルは今も現役。駅舎の方は2020年8月にリニューアルされた。

 帰りの新幹線は、名古屋18:29発の「のぞみ」102号。19時を回ってもまだ明るく、富士川を渡る前くらいまでは暮色の光景を眺めることができた。我ながら程よい時間に帰途についたものだと思う。

19:09頃、安倍川を通過。茜色の雲が綺麗だった。

 2024年上半期の旅は今回でラスト。鉄道メインの旅で、7月以降に予定しているものは今のところないが、どこかしらで「EXダイナミックパック」か「EXこだわりツアー」の方は(3,000円割引を活用する形で)申し込むつもり。そろそろ考えてもいいかも知れない。

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