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第642話 入館・入園無料デー(2024.6.1)

 みどりの日(5月4日)、国際博物館の日(5月18日)は、関連するスポットや施設などが無料になったり、何らかのサービスがあったりする。それらの日が近づくと、どこに行くかの予定を立てるのがここ何年かの恒例。ゴールデンウィークにわざわざ遠出せずに済んでいるのも近場や近郊の無料某のおかげで、今年は特にその機会が多かったように思う。

 毎度お気楽な話だが、今回は4/29、5/4、6、15、18、19の外出等のふりかえり。入館は4件(5回)、入園は2か所で、そこで過ごした時間の合計は約10時間半と相成った。ひとつご笑覧のほどを。


4/29(月・祝)、5/6(月・祝)

 2023.9.15に開館した「URまちとくらしのミュージアム」。オープン時も予約不要の特別公開が4日間行われていたが、筆者は行き損なっていて、どこかで事前予約を入れてきちんと来館しようと思っていた。そんな特別公開が連休中に2回(4/29、5/6)あることを知り、とにかく一度は行ってみようという話に。予約での見学では、解説つきのツアー形式になるので時間的な制約がある訳だが、特別公開では入館時間別に人数枠が設けられているだけで、一度入れば心ゆくまで見学ができる。4/29は二人で参加し、5/6は復習を兼ねて一人で来館。その筋の見聞はある程度深まったと思う。

URまちとくらしのミュージアム「ミュージアム棟」。特別公開は、この棟が対象。4団地6戸の復元住戸などを見物した。
当ミュージアムの概要など。コンセプトはなかなかだと思う。館内の案内はこちらに掲載の通り。

 もともとが無料ということもあって、館内を隅々まで撮影するのはNGで、基本的に部屋を再現した空間、団地等の模型については撮影可、解説文が書かれたものや年表などは不可(写り込みを含む)。「まちとくらし」に関心がある方にとっては何とももどかしく、その辺を補う意味で図録があってもよさそうなところ、それもあいにくとない。メモをとろうにも情報量がそれなりだととてもとても…である。二回訪ね、滞在時間は計220分ほど。自分なりにいろいろ頭に入れるにはそれくらいの時間が必要だったことになる。

ミュージアム棟4階、同潤会代官山アパートの単身住戸の一室。古き佳き趣を感じる。
同じく4階、蓮根団地の2DKのうち、居室にあたる部屋の様子。ここだけ見ると「昭和のくらしミュージアム」といった設え。
4階ラストは晴海高層アパートのエレベーターアクセス階の住戸。アパートと言っても、デザイナーズマンションの先駆的存在とされる10階建ての高層集合住宅で、モダン(当時曰く)なテイストが随所に見られるのがポイント。エレベーターフロア(3の倍数階)の住戸はいいが、その上下階は階段を使う形態で、バリアフリー面では難がある。
2階・3階部には多摩平団地テラスハウスの「19号棟」の2階分1住戸がまるごと展示。北八王子にあった「集合住宅歴史館」から移設したというからその労力たるや!である。
2階には壁面展示「団地はじめてモノ語り」も。こちらはさながら「昭和の住宅部品・建材ギャラリー」といった趣。
ミュージアム棟から見た「スターハウス」。このタイプの住棟は三棟保存してあっていずれも登録有形文化財。「三角形の階段室の周囲に各階3つの住戸が放射状に配置」され、上から見るとY字になっているのが特徴。当地には5階建て「板状階段室型」住棟もあり、そちらも登録有形文化財。赤羽(または北区)の一大名所と言っていいと思う。
1階にはデジタルサイネージ仕様の「URヒストリー」ディスプレイがある。公団のパンフレット表紙などが順送りに表示され、圧巻。筆者的には目玉展示だと思う。

 ミュージアムなので学芸員の方は一応いらっしゃる(常駐はしていない)。スタッフは各所にいて解説もしてもらえるが、突っ込んだ質問になると即答が難しいケースがあるのが実際。まだ一年経っていないので、展示に関するFAQも整備中と考えるのが筋だろう。今後に期待しようと思う。


5/4(土・祝):みどりの日

 みどりの日に入園無料になるスポットは東京都立の関係だけでも15(→参考あり、都内ではこの他に新宿御苑、国立科学博物館附属自然教育園、小石川植物園、多摩森林科学園がある。近県では、国営武蔵丘陵森林公園、茨城県自然博物館、国立科学博物館筑波実験植物園などもあるが、遠足(またはそれ以上)になってしまうので今のところは対象外。今年は都立ではないところを一つと考え、小石川植物園に行くことにした。1994年以来、実に30年ぶりである。

小石川植物園は通称。正式名は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」(案内によればそういうことになる)。中央右の緑の長方形が分類標本園。中央から左半分にあたるエリアは見送った。

 この日は快晴で、最高気温は28℃近くまで上昇。緑豊かな中と言っても暑さはやはり堪える。同園はとにかく広大で、その面積は実に161,588平米(≒700×230m)。一周すると熱中症になりかねないので半分程度にとどめた。見て廻ったのはメタセコイヤ林、分類標本園、公開温室、柴田記念館、シダ園など。何だかんだで1時間半ほどを園内で過ごした。みどりの日にピッタリの場所だったことは確かである。

見上げるとこの通り。濃く鮮やかな緑が空を覆う。
シダ園。日本に分布するシダは約630種あるそうだが、ここには130種類のシダが集められているというからちょっとしたもの。湿度が感じられるスポットだが、不思議と居心地は良かった。

 都バスのIC一日乗車券を使って移動していたので、バスで行けるところをもう一つと考え、路線図をチェック。植物園最寄りの白山二から千石三まで乗り、次に[上58]に乗り換えると六義園にアクセスできることがわかる。上富士前で降りて150m歩くと正門。池を見ながら渡月橋、白鷗橋、千鳥橋の順でひと廻りした。その間35分。日射しはまだ強めだったが、池から来る涼感もあって暑さは感じなかった。植物園からの庭園、流れとしては上々だろう。

六義園と言えば池「大泉水」。中央に写っているのは洞窟石組の島「蓬莱島」。松が生えているのが見どころ。
5/4はまさかの28℃(前日比+3℃)

5/15(水)

 国際博物館の日は5/18だが、入館無料、記念品配布などの取り組みはその前後だったり、その日を含む複数日だったり、施設によっていろいろ。世田谷文学館は5/15が「『国際博物館の日(5/18)』を記念して入場無料」ということを知り、それならばと休暇をとって臨む。

 当館の最寄駅は京王線の芦花公園。世田谷区在住の頃は、芦花公園エリアを自転車で時々訪ねていたが、当時はまだなかったのだから行きようがない。開館したのは1995年4月。そのタイミングで世田谷区から離れたこともあり、訪ねる機会がないまま時は流れ、はや29年が経ってしまった。日本博物館協会のホームページをチェックし、記念事業一覧のPDFで世田谷文学館の欄を見つけたのは4月版でのこと。早々に載っていたので、早めに予定を組むことができた。

初めての世田谷文学館。外観上は文学館というよりは美術館といった印象。芦花公園駅からは約400mと程よい距離だが、千歳烏山駅からだと最短で約700m、八幡山駅からも道に迷わなければ約900mということがあとで調べてわかった。

 文学館に着いたのは14:20頃。企画展(一般1,000円)とコレクション展(同200円)の二会場があって、どちらも無料公開扱いで驚いた。あいにくお高い方はいわゆるホラー系につき、筆者はパス。お化け屋敷に入る感覚で一気に通り抜ける恰好になった。こうなるとそれほど長い滞在にはならなそうだが、コレクション展(小堀杏奴油彩画展)と、その展示室の一隅にある「ムットーニコレクション」(自動からくり人形)を鑑賞したり、ライブラリー「ほんとわ」でくつろいだりしていたら、結果的に約2時間を過ごすことに。平日に来館するなら休暇をとった上で・・・そんなスポットだと思う。

「5月15日(水)は世田谷文学館の企画展・コレクション展を入場無料に」・・・ありがたい限り
1階奥にある「ほんとわ」。児童書のほか、「POPEYE」「BRUTUS」「暮しの手帖」など、雑誌のバックナンバーも。当ライブラリー目当てで来てもいいと思う。

5/18(土):国際博物館の日

 「国際博物館の日」の当日。件の記念事業一覧PDFの5月1日更新版を見たら、東京国立博物館と国立新美術館が追加で掲載されたので、今回は両館のどちらか(またはどちらも)がいいだろうという話になった。

 行きやすいのは国立博物館。先に博物館に行き、時間に余裕があったら美術館ということにして、鶯谷に向かう。午前中から動いていれば博物館→美術館リレーも可能だったと思われるが、博物館に着いたのは13:40過ぎ。特別展を除いてどの館も無料とあっては国立新美術館も何もない。「総合文化展」(無料対象)の範囲で、無理なく過ごすことにした。

特別展「法然と極楽浄土」のみ入場料が必要。他の展示は「総合文化展」枠で、いずれも無料!
開館しているのは本館、東洋館、法隆寺宝物館、平成館と、この案内には出ていないが資料館がある。5/18は結局、法隆寺宝物館と本館(一部)どまり。東洋館は休憩で立ち寄った。

 この日も異様に暑く、東京の最高気温は29℃ほど。館内でできるだけ長くなどとやっていたら、法隆寺宝物館で約75分、本館(主に2階)で約45分といった具合で、いつもののんびりコースとなった。

 金曜・土曜は19時まで開館しているので、その気になればもっと堪能できたかも知れないが、17時には外へ。3時間以上いれば十分というものだろう。

 隣接する国立科学博物館も5/18は常設展が無料だった(記念事業一覧PDF、5/17版にようやく掲載)ので、一時的に科学博物館に行き、そこが閉館時間(17時)になったら国立博物館に戻る手もあったなぁと今は思う。とにかく早く来るに越したことはないだろう。


5/19(日)

 日本博物館協会のホームページ等での掲載がないので「国際博物館の日」とは別枠になるが、東武博物館でも同時期に入館無料になる日が設定される。開館記念日が5/20なので、その日か前か後かという感じで、2024年は5/19が対象日だった。開館35周年にあたるため、ちょっとした記念企画もあるのが今回のポイントである。

 前回の来館は2009.7.29だったので15年ぶり。初めてであれば気分的に違ったと思うが、入館できれば可くらいの気持ちで臨んだため、辿り着いたのは15:40頃とかなり遅め・・・16時半には完全にクローズになるので館内にいたのは50分と短めだった。

入館料は大人200円(ICカード)、210円(現金)。5/19は開館記念日(前日)で「入館無料!!」。
博物館エントランスにはバルーン装飾・・・「HAPPY35TH」
関東私鉄の博物館としては老舗の東武博物館。多少陳腐な面もあるが、実物車両をはじめ、展示は充実。50分では到底足りない。
デハ1形5号。大正13年製なので、2024年で100周年。営業用としての運用は1956年に、その後の事業用車両としての役目は1981年に終えた。
B1形5号機関車。1898年、英国製のSLで、1899年に輸入。東武に着任して125周年ということになる。同じく英国製の東武のSLは、大田区の萩中公園でも保存展示されている(→参考)。

 決して遅いスタートではなかったのだが、都バスのみで移動しようとするとやはり時間はかかる。この日は東京大学の「第97回五月祭」(2日目)も催されていて、そちらを先に行ったことがまずあって、程々のところで東大を後にするつもりが2時間半余りとつい長居してしまい、バスも乗り換え三回でタイムロスが少なからずあって… 気持ち的には緩めでも15時前後には着くつもりだったので、想定が甘かったと言わざるを得ない。次に来館する際は最低1時間半は確保できるよう、時間配分、行程を考えたいものである。

東大正門にて。第97回のテーマは「しずく融け合う、水模様」(→参考)。

 そんな訳で、4月、5月は泊まりがけの旅には行かず、外出範囲は都内と三県(神奈川、埼玉、千葉)にとどまる結果に。過ごしやすい時季だからこそ、あえて近場でというのもいいのかなと思う。

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