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第658話 合成着色料「赤〇号」(2025.2.1)

 牛丼チェーン店などでおなじみの紅ショウガだったり、カレーチェーン店などでよく見かける福神漬だったり、とにかく妙に赤い食品に関してはもともと回避してきた筆者。ここ30年くらいは意識して避けている。鮮やかではあるが、その鮮やかさこそがリスク要因というもので、いくら安全性に問題なしと云われてもその辺りは懐疑的。石油由来の着色料を好んで摂る必要はなく、まして成分表示がないとなれば避けるに越したことはない。

 赤色が過ぎる食品はいわゆる合成着色料を使っている可能性が高く、それらは赤色3号のほか、赤102、赤106などが主流。さる1/15に米国の食品医薬品局が赤色3号について「食品への使用許可を取り消す」旨が発表され、俄かに衆目を集める形になっているが、こちとら何を今更…といった態ではある。滑稽なのは、その発表を受けての消費者庁の動き。1/17、火消し策といった感じで「Q&A」が掲載され、「通常の使用による摂取においては安全性上の懸念はない」といった文章が載るに至った。少しでも疑念があるなら待ったをかける!という姿勢は残念ながらここからは読み取れない。いずれにしても筆者としては静観するばかり。引き続き「疑わしきは回避」のスタンスでと思う。

赤い福神漬が添えられて出てくるカレーセットの例。福神漬を除いて完食。
スーパーで売られているカツカレー(一例)。福神漬が赤いのは着色料(赤102、赤106)の為せる業。

 紅ショウガ、福神漬以外で注意すべきは、駄菓子の類、弁当類の付け合わせだろう。添加物の表示が比較的見やすいため、スーパー等での弁当購入時は軽くチェックすれば済むのでいいが、同じ弁当でも駅弁のそれは一定のハードルがあり、特に容器の形状が特殊、または反転させるのが困難な場合は調べるのを断念することもある。消費者が知り得べき情報にアクセスしにくいというのはどうかと思う訳だが、加工品表(原材料名等)のラベルをどのように貼り付けるかに関しては、こと駅弁に関しては明確な定めがないのだと思われる。鉄道メインで各地を旅している割に、駅弁とはあまりご縁がないのは斯様なアクセシビリティーの件もあってのこと。もともと駅弁の添加物については、さほど信頼をしていないというのもある。

2020年「どこでもドアきっぷ」の旅(→第558話)の途中、宮崎駅で(珍しく)駅弁を購入。限られた中から選んだため、添加物の確認は二の次。どちらも揃って「赤102」「赤106」使用の食材が使われていた。
左が「日向鶏べんとう」(900円)、右が「椎茸めし」(800円)。赤い着色料が使われているのは、梅干し、漬物と目される。
おまけでいただいた駄菓子(いか加工品)の裏面はこんな具合。加工品本体が赤々としているのは「赤102」に依るところ大か。
品名ズバリの「紅生姜」。こちらは「野菜色素」で紅色を出していて、目にも優しい。チェーン店で提供されるものが野菜色素系であることがわかれば、食べる気にもなるのだが…

 赤色3号の報道等を受けて、日本鉄道構内営業中央会がリリースを出すといった動きもないようなので、業界としての意識のほども知れるところ。駅弁における赤色3号の現状はどうなのだろう。これは自分で調べてみるしかなかろうということで、1/18と1/20に出かけてきた。1/18は京王百貨店の「第60回 元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」、1/20は東京駅に来たついでに「駅弁屋 祭」へ。京王百貨店の方はあまりの盛況ぶりに弁当そのものを手にできない上、基本的に対面スタイルなので、原材料名をチェックするのは困難の極みだった。赤色3号に関心を寄せる客が少なからずいてもよさそうなタイミングだったと思うが、そういう雰囲気もなく、会場はただ駅弁を買い求める方々で騒然。添加物云々よりも、名産か銘品か美味しそうかといった本来的な関心の方が優先されるようだ。

すっかり景色が変わってしまった新宿駅西口にあって、京王百貨店は今のところなお現役。当店での駅弁催事は今回で実に60回目。
「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は規模も期間も日本最大級。全国の駅弁が一堂にと感じるが、もともと設定がない沖縄のほかにも、5県分が出てないことが「駅弁リスト」を見ていて判明。その5県は、埼玉、千葉、岐阜、大分、宮崎だった。

 駅弁大会では成果が乏しかった訳だが、駅弁屋の方では概ね知りたい情報にアクセスすることができた。当の赤色3号はお目にかからなかったものの、赤102、赤106についてはチラホラ。京王百貨店でも出品されていた「鰊みがき弁当」はこの2種類に加えて、黄4、黄5も使われていて、合成着色料の数としては多めだった。たまたまかも知れないが、北海道の駅弁でこれらの表記が多い印象。そこまでして発色する必要はないと思うのだが、長く売られている定番品だと、その色でないと納得しない常連さんがいるといったこともありそうだ。何につけ北海道でグルメを堪能するなら、駅弁以外でと筆者は考える。

見本写真でも黄色が目に付く「鰊みがき弁当」。赤102、赤106の出番はなさそうに見えるが…
「ホタテめし」に記載の合成着色料も同じく4種類。こちらの赤102、赤106が使われている先はおそらく漬物の類だろう。

 まず買うことはないが、廉価な菓子についても調べてみた。実際に売られている中から「赤〇〇」を試しに探ってみると、3号を使っているものが少なくとも一つあり、102や106を使ったものもいくつかという状況。お子さんが好みそうな菓子であるだけに、買い与える側としては一定の留意があってもいいように思った。

もっともな観のある粒状チョコレート。「赤3」としっかり記されている。
すももにウメに・・・少しでも赤みがある品は表示をきちんと見た方が良さそうだ。

 シーズン的に、菓子類のトッピングで使われる光沢感のある粒々であったり、桜をモチーフとした和菓子であったりというのもその手の店では見かける。真っ赤ではなくても、少なからず娯楽的要素のある食品というのは「健康面<コスト面」の傾向があるようで、着色料の行を目で追っていたらそのものズバリ「赤3」とあるのが見つかって驚いた。あるところにはある、それが現実なのである。

その名も「TOPPINGS for sweets」。こちらの二つに共通する着色料は「赤3」と「銀」。
ピンクや桜色の食品でも「赤〇〇」は使われる。この饅頭の着色料の記載にあったのは「赤3」と「赤105」。
赤い食べ物と言えば、明太子もまた代表的。「食べる明太生七味」とあるので、唐辛子をうまく使えば着色料も抑えられそうに思うが、もともとの明太子が着色済みとなると表示上はそうなってしまうのだろう。「着色料(赤102、黄5、赤3)」というのはなかなか…

 とりあえず日本国内では通常使用されている「赤〇〇」などの合成着色料。気になる場合は当該欄をチェックすれば済む話で、自分の判断で回避できるのだから問題ない。今回の話題はあくまで参考までにご覧いただければと思う。

(おまけ)某社の周年記念イベントで配られた「小麦饅頭」のラベル表示。「着色料(赤3 赤105)」とあって些か面食らう。
ロゴ入りの紅白饅頭というのは趣向としては良かったが、着色料クオリティーが…という一品。

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