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第586話 末広町までの片道90分(2022.2.1)

 すっかり外出しにくくなり、公共交通機関の利用も憚られる今日この頃。それでも現地に出向く必要がある所用というのは少なからずあるもので、そういう時は自転車が頼りになる。

 1/26(水)はもともと休みをとっていたが、前日に連絡が来て末広町に出かける用件に充てることになった。タイミングとしてはよかったものの悩ましかったのは如何にしてそこに行くか。幸い末広町は自宅から片道15km(持続可能な移動距離の目安…筆者基準)の範囲内。通勤で神保町まで往復していたことを考えれば特段問題ないのだが、台東区方面となるとどこを通るかで難易度が変わるため、ルート選定がポイントになる。一応下調べして、京浜東北線に沿うように行きつつ、西日暮里からは地下鉄千代田線の沿線付近を辿るのが良さそうという見立てになった。過去に自転車で通った道がメインだが、初めて走る「未知の道」もあるかも知れない。途中でいろいろと撮る前提で片道90分を見込み、13時半に出発。末広町の目的地には15時過ぎ到着としていて、結果的にその通りになった。我ながらいい読みだったと思う。


 往路は明治通りや尾久駅方面ではなく、東北本線の第二王子踏切を渡り、京浜東北線上中里駅の北側や、尾久操車場と田端操車場の間を通るルートを選択。当の踏切から東田端郵便局付近まで約2kmあるが、クルマの通行量も少なく実に走りやすい。

第二王子踏切。複線の奥は尾久駅方面。踏切を渡ると東北新幹線の高架下に沿うように道が続く。
田端操車場の横を通ると、こうした電気機関車を見かけるのは必定。写真は、EF81形133号機「北斗星色」。

 田端駅の東側から先は、貨物線を越える橋があり、そこを通れば引き続き線路沿いに進める。が、アップダウンを伴うため、東北本線のガード(第1井堀架道橋)下、貨物線の踏切を経由して西日暮里駅をめざした。多少遠回りになるのと、ジグザグに進む感じなのが難点だが、負担は少ない。西日暮里からは道灌山通りを西に進み、道灌山下の三差路の手前で「よみせ通り」に入る。大通りを回避できるのがポイントで、池之端辺りまでは気楽に走れるからありがたい。その距離は概ね2km。自転車で走りながら路地裏探索するような気分になれるのがまたいい。

 この道を南下する場合、左が台東区谷中、右が文京区千駄木という境界線上を進むことになる。区境=道路は、左が台東区池之端三丁目、右が文京区根津二丁目の辺りまで続き、その途中、曲がりくねった区間があるのがまた趣深い。あとで調べたら、藍染川の蛇行部にあたり、今は暗渠になっているのだとか。クルマは通り抜けが難しいこの区間、通称「ヘビ道」、別名「千駄木の十三曲がり」と呼ぶ。道は千駄木駅の南側付近から谷中郵便局の近辺の範囲にあり、エリア的には初めてではないが、記憶があまり… ともかくそのクネクネを抜け、言問通りを横断し、境界線の上または横道を通り、上野動物園が近づくと区境は終了。都電車両が目印の池之端児童遊園に出る。

よみせ通りを抜けると「枇杷橋跡」の看板が現われる。その後方の「Cafe Petticoat Lane」の左を入ると「ヘビ道」。
十三曲がりを出ると道幅が広くなる。ここも区境上の道路で、左が台東区谷中二丁目、右が文京区根津二丁目。
かつて都電の停留場があった場所で静態保存されている7500形7506号車。2008年2月、東京都交通局から台東区に譲渡されたのだとか。

 ここまで来れば、不忍通りか不忍池の外周道路を往くだけ。湯島駅~末広町は大通りを避けるルートが複数あるので、何とかなる。かくして往路は、赤羽駅東口から末広町駅で約11.6kmを走った。復路は15時半過ぎに出発して、帰宅したのは1時間半後。何とか明るいうちに帰り着くことができた。

不忍池。上野方面を望むと、スカイツリーが見え隠れするのが一興。

 往路とルートを変えたのは、池之端界隈に出るまでの間。御徒町駅、京成上野駅(池の端口)を経由し、通称「動物園通り」を走った。自転車で通るのはこれが初めて。不忍池の東ルートといった道で、とにかく走りやすかった。

春日通りなどでは「暁暁」と「蕾蕾」の命名を祝す垂れ幕が。レイレイのレイが「蕾」(つぼみ)だったとは…(これも新たな発見?)
その存在を初めて知った上野動物園の「弁天門」。動物園は1/11から休園中。

 上野動物園の弁天門を横目に進み、休止中のモノレールの下をくぐり、森鴎外の旧居跡を通る。いずれも自身としては新たな発見で、自転車で来たからこその収穫だった。鴎外旧居跡を北に行くと池之端四丁目に入る。当地はほぼ初探訪。とにかくここから南に下れば、京成上野駅にアクセスできることが今回わかった。上野・秋葉原エリアに自転車で行く機会があれば、次はこのルートにしようと思う。

休止中の上野動物園モノレール。園外からモノレールを撮るのに絶好の場所だった訳だが、おそらくもう走ることはない。
池之端三丁目にある「水月ホテル鷗外荘」。残念ながら2021.10.15を以って営業終了に。
ホテルの一角にある「森鴎外居住之跡」など。2022年は鴎外没後100年にあたり、記念事業なども行われる。節目の年にご当地のホテルが稼働していないというのは何とも皮肉な話だと思う。

 再び区境の道路に出て、蛇行する道を北上したら、西日暮里界隈で違うジグザグを経た以外は往路と同じ。道灌山通りでは西日を背に東に進み、操車場の辺りでは夕陽をバックにした電気機関車を撮りといった具合で、暮れ行く中をのんびり帰る。第二王子踏切に行き着いたのは16時半。何もなければそのまま通り過ぎるところ、踏切で待機する撮り鉄メンバーがいたため、様子を見ることにした。構図が同じなのも何なので、渡った先で彼等が構える向きに合わせてこちらもカメラを準備する。すると5分ほどして撮影対象と思しき珍しいのが現われた。先頭はEF65-1115。それがホキ800形2両(1876+1875)を牽引する短い編成だった。通過後、メンバー各位は互いに会釈してその場を離れたため、こちらも退却。たまたまだが、彼等のおかげで面白いのに遭遇、撮影することができた。これも自転車移動ならではだと思う。

区境の道路と言問通りとの交差点。大黒屋(谷中1-3)の左を進めば引き続き境界線。
ヘビ道の途中にあるアンティークショップ
こちらもヘビ道にある店舗。ネコのオブジェが目を惹くが、トートバッグの専門店。
リアルな黒猫はこの通り。なかなか凛々しい(というかイケメン?)。谷中ではなく西日暮里某所で対面。
夕焼けモードでの電気機関車。往路では133号機を撮ったが、復路ではEF81形134号機を撮影。
EF65形1115号機+ホキ800形(×2)。撮り鉄の方々は、先頭の電気機関車を望遠で撮れればよかったようで、目の前を通過する時点ではカメラを構えることもなく、撮った画像をチェックしているようだった。(筆者は動画で走り去るまで撮影)

 1km5分のペースで走れば1時間余りで行けるのが御徒町や末広町。だが、実際はそうならないのが自転車の妙味であり、いいところだと思う。出かけるのは程々にしつつも、やむなく外出する際は、こんな感じで行けば低リスク、高リフレッシュ? とりあえずあと半月程度は公共交通機関を使うのは控えようと思っている。


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